「日本の刑事司法制度」のここがおかしい!

オリンパス横尾とキャッツ細野が激白対談

私が犯罪会計学を深める一環として、オリンパス事件の資料はすでに読み込んでいた。これは何とか横尾さんの力になりたいと思った。戦後、再審無罪となった事件は21件あるが、すべて物証型の一般刑事犯であり、経済事件は1件もない。経済事件は物証がないために再審は理論的に不可能と痛感する一方で、誰かが最初に井戸を掘らなければならない。それを横尾さんがおやりになると言っている。ならば、横尾さんの再審無罪を支援しなければならないと思った。

部下は横尾さんを売らなかった

細野 横尾さんがオリンパス事件の細部に分け入って無実を主張しても、理解するには金融の専門知識が必要であり、世間は聞く耳を持たないだろう。横尾さんが世間にまず訴えるべきは966日間も拘留されたという事実。逃亡や証拠隠滅の恐れがないのに保釈申請が却下されたということだ。

次に世間に訴えるべきことは、横尾さんが設立したグローバル・カンパニーの部下のうち、羽田拓・元取締役は966日間、小野裕史・元取締役は831日間拘留された一方で、主犯であるオリンパスの菊川剛元会長、山田秀雄元常勤監査役、森久志元副社長はわずか40日しか拘留されていないことだ。どう考えても常識としておかしくないだろうか。

ほその・ゆうじ/1953年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1978年からKPMG日本およびロンドンで会計監査とコンサルタント業務に従事。キャッツ事件で有罪確定後、現在は会員制の「複式簿記研究会」を主催している。会計評論家として著書多数。(撮影:梅谷秀司)

羽田氏も小野氏も自白調書に署名すれば、菊川氏のように拘置所からすぐに出ることができた。部下が上司を売る、あるいは同僚や上司が部下を売るというのは勾留中の被疑者の間でよくあることだ。しかし、羽田氏も小野氏もそうしなかった。検事はおそらく羽田氏や小野氏にこう言っただろう。「特捜事件は99.9%勝てない(=無罪にならない)。早く罪を認めて、執行猶予をつけてもらって再出発しろ」と。しかし、そうはしなかった。

羽田氏や小野氏はなぜ自白調書に署名しなかったのだろうか。966日間や831日間も拘留されては、社会的には死んだも同然だ。死んでもいいと思っていたか、横尾さんの言っていることが本当かのどちらかだが、私はその両方だと思う。横尾さんには部下に、「この人のためであれば死んでも構わない」と思わせる何事かがある。人は誰でもいつかは死ぬが、保釈や執行猶予の誘惑に負けて嘘の自白をすれば、自分が死ぬときに必ず後悔する。「自分の言っていることが真実だから、部下の羽田氏や小野氏は自らの人生を棒に振ってでも自白調書に署名しなかったのだ」と横尾さんは言うべきだ。横尾さんが言えないのであれば、私が言う。

そもそも横尾さんは、優秀な証券マンだったかもしれないが、会計士ではないのだから、会計基準をよく知らなかった。だから、オリンパス事件のような会計基準を複雑に回避する粉飾を指導できるわけがない。横尾さんはそのことを世間に向かって言うべきだ。

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