「日本の刑事司法制度」のここがおかしい!

オリンパス横尾とキャッツ細野が激白対談

横尾 裁判長も本当は無罪であることがわかっているのだろう。拘留期間のうち懲役期間から減じられるのはせいぜい半分というのが通常だが、私の場合、966日中、800日も認められた。これは異例中の異例で、本当は無罪であることを裁判官が分かっている証しだ。刑務官も「あなたは無実だ。生活態度をみればわかる」と言う。

――起訴・不起訴を決める検察が捜査も行っているのは、先進国中では日本と韓国ぐらいですね。なぜ日本では検察が捜査をしているのでしょうか。

細野 GHQの占領下において、旧日本軍や財閥の隠匿退蔵物資が国会の地下にあった。それを横流しして暴利を貪っているという実態があった。当初GHQは戦前の特高検察を軍国主義の温床として嫌い、検察官による事件捜査を認めなかった。隠匿退蔵物捜査は警察が行った。ところが警察で捜査したところ、日本の警察捜査は優秀で、隠匿退蔵物資の捜査対象はGHQ幹部にまで及ぼうとした。慌てたGHQは、隠匿退蔵物捜査から急遽警察を排斥し、検察の中に隠匿退蔵物の捜査機関を設けて戦前の公安検察の生き残りにその捜査をやらせた。結局、隠匿退蔵物事件ではGHQ幹部は誰も逮捕されていない。これが特捜部の始まりだった。それが今でも続いている。

横尾氏は「令和の巌窟王」になる

細野 昔も今も刑務官は刑事司法において重要な役割を果たしている。かつて昭和巌窟王事件(吉田巌窟王事件)があり、横尾さんの事件はこれが参考になる。

細野氏(左)は4月25日に「横尾宣政さんの再審無罪を支援する会」の設立発起人代表に就任した(撮影:梅谷秀司)

1913年に路上で小売商を殺害したとして捕まった被疑者2人が「吉田石松に言われてやっただけだ」と供述。吉田石松氏はアリバイもあったのに被疑者2人の供述調書が証拠採用されて死刑を言い渡された(被疑者2人は従犯とみなされ無期懲役になった)。

吉田石松氏は「俺は無実だ」と小菅監獄(現小菅拘置所)で暴れ、網走監獄(現網走刑務所)で暴れ、秋田監獄(現秋田刑務所)でも暴れる。秋田の所長が独自に調べ直し、「これはおかしい。吉田石松氏はやっていないのでは」と吉田石松氏に再審請求を薦める。

旧・都新聞(みやこしんぶん。現・東京新聞)の司法記者が釈放されていた被疑者2人の居場所を突き止めて、殺人事件と吉田石松氏とは無関係であることを知る。都新聞の記者は2人からの詫び状を受け取った。それでも再審請求は棄却された。吉田石松氏は減刑となり、仮出所後に法務大臣に直訴を試みたりした。法務省職員に日本弁護士連合会の人権擁護部を紹介され、1963年に無罪判決が言い渡された。

――この都新聞の記者がアレクサンドル・デュマの小説「巌窟王(モンテ・クリスト伯)」になぞらえて吉田石松さんのことを「今様巌窟王」と称して書きました。

細野 吉田石松氏同様、横尾さんもアリバイはあるし、菊川氏らの偽証は明らかだ。経済事件で再審が認められるのは皆無だし、再審で無罪を勝ち取ったことはないが、横尾さんはその第1号になるに違いない。

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