「日本の刑事司法制度」のここがおかしい!

オリンパス横尾とキャッツ細野が激白対談

横尾 特捜部に逮捕されて、「この資料はお前が作ったな」とか自分がまったく知らないことを聞かれる。初めて見るものばかりだったが、抵抗のしようがなかった。オリンパス幹部の供述調書を見せられて、ようやくオリンパスが何をやっていたかが見えてきた。検察や裁判官の言っている個々のことはすべてつぶせる(=論破できる)ものばかりだ。

よこお・のぶまさ/1954年、兵庫県出身。京都大学経済学部卒業後、1978年に野村證券入社。金沢支店、第2事業法人部などを歴任。1998年に独立し、ベンチャー企業の指導・投資会社「グローバル・カンパニー・インコーポレート」を設立し、社長に就任。オリンパス巨額粉飾事件で懲役4年の実刑判決が確定。再審請求に向けて準備中(撮影:梅谷秀司)

細野 裁判というのは事実認定を細かくやらざるをえないので、検察や裁判官が細かいのはしかたがない。大事なのは世論を味方につけることだ。無罪判決を受けている事件の多くは世論を味方につけている。

裁判も結局は世論に動かされる。裁判官は、無罪だとはわかっていながら、特捜事件では、有罪を論証する検面調書(検察官面前調書)が大量に上がってくる。裁判官が無罪判決を書くためには大量の検面調書をすべて否定しなければならない。国民の声に支えられなければ、裁判官は無罪判決など書けるわけがない。(元厚生労働省事務次官の)村木厚子さんの無罪判決の背景には特捜検察に対する圧倒的な国民の怒りの声があった。

戦時中の灯火管制が判決文に影響している

――横尾さんに限らず、裁判官の書く判決文ではどの証拠をどのように評価したのかが明らかにされません。

細野 私の事件も横尾さんの事件も、判決理由だけを聞くと無罪かと思ったと言われたが、これはざらにあることだ。というのも、現行刑事訴訟法上、証拠理由を判決文に書かなくていいことになっているからだ。どの金の出入りに基づいて、などと具体的に書かなくてよいことになっている。「甲1号証により」と標目だけを書けばよい制度になっている。

戦前はこんな制度はなかった。東条英機内閣になり、第2次世界大戦が激しくなると灯火管制(戦時中の照明使用の制限)がなされた。敵機が来襲すると電気を消さなくてはならず、真っ暗闇の中では判決文が書けない。そこでやむをえず証拠の標目だけでいいということになった。戦時刑事特別法の改正案ができて、証言をやっている暇がないということで、取り調べ調書だけでいいことにしようということになった。

戦争が終わって平和な世の中になり、灯火管制も敵機来襲もなく、戦時刑事特別法は廃止されたが、現行の刑事訴訟法に、監禁密室で取られた検面調書を公開の法廷における証言より信用できる特信情況として証拠採用したり、判決理由は証拠の標目だけでいいという制度が残っている。

横尾さんの判決も判決理由だけを読むと無罪。しかし、菊川氏らの調書のほうが正しいと言うことで有罪にされている。

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