トヨタ自動車と日産自動車を分析する なぜ日産は、「独り負け」しているのか

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参考までにキャッシュ・フロー計算書(同13ページ)にも目を通しますと、営業活動から得られる現金の収支を示した「営業キャッシュ・フロー」の「営業活動から得た現金<純額>」も、1兆2395億円から1兆9670億円まで約59%も伸びています。さらに、売上高がどれだけ効率的にキャッシュ・フローを稼いでいるのかを示す「キャッシュフローマージン(営業キャッシュ・フロー÷売上高)」を計算しますと15.7%となり、キャッシュフローから見ても、非常に収益性が高いことがわかります。

なぜ、これほどまでに業績が大幅に改善しているのでしょうか。もう少し詳しく分析するために、地域別の生産実績(2013年4~9月)を見てみましょう。

生産台数が大幅に増えているのは、北米と欧州です。北米は、前年同期より約5万台の増加。欧州は、約6万台増加しています。一方、日本は6万台近く減少しているのです。

これと併せて、地域別の収益を見てみます。最も売上高が伸びているのが北米です。「売上高合計」は前年同期より1兆円近く増えており、その内訳によると、特に伸びているのは北米内での売り上げを示す「外部顧客への売上高」です。

絶大な円安効果

ただし、北米は「営業費用」も1兆1000億円ほど増えてしまっていることから、「営業利益」は約2000億円減となりました。

その一方で、驚異的な増益となっているのが日本です。まず「売上高合計」を見ますと、前年同期より5000億円以上伸びています。その中でも特に伸びているのが、日本から海外への輸出による売上高を示す「所在地間の内部売上高」です。

そして「営業費用」はほぼ変わらないわけですから、そのまま「営業利益」に反映して、5800億円の増加となりました。前年同期より3倍以上伸びています。(同15~16ページ参照)

先ほど生産実績を見ましたが、日本の生産台数は減少していましたね。それにもかかわらず、大幅な増収増益となっているのです。さらにその内訳を見ると、輸出での売り上げが伸びていることを考えますと、この大幅な業績の伸びは円安の影響が大きいと言えます。

次ページ決して、日本での生産台数が増えたわけではない
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