「ゆで太郎」郊外店の成長支える意外なファン 2018年のグループ店舗数は国内トップに

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また、都心店は400円台のそば単品が注文されることが多いのに対し、テーブル席が多くゆっくり食べられるロードサイド店では、日替わり得セット(570円)など、ミニ丼とのセットが多く注文されるという。客単価が高いのも大きなメリットだろう。

500円台で食べられるメニューが多いのが強みだ(撮影:梅谷秀司)

そして、池田社長も予想外だったというのが、ファミリー客が多く訪れることである。来客の減る平日の夜や土日に、家族連れがやってきてくれたのだ。確かにゆで太郎はそば以外にも、カレーライスや丼ものが充実している。こうしたメニューが500円台で食べられるのだから、子どもを持つ家庭にとってはうれしいだろう。さらに小さな子どもがいても、店舗には広い駐車場があるため、車でさっと行けるのもありがたい。

「こんなにそばが好きな人がいたんだ」

「ファミリー層に加えて、近隣のお年寄りも来てくれました。お年寄りは牛丼やパスタより、やっぱりそばなんですよね。老夫婦の場合、2人分では食事を作るのが面倒というのもあるんでしょう。若い家族連れからお年寄りまで、『こんなにそばを好きな人がいたんだ』と、うれしい驚きがありました」(池田社長)

そばのほかに丼ものなどが充実しているので広い客層を狙える(撮影:梅谷秀司)

実際に、埼玉県さいたま市にある岩槻笹久保店を訪れてみた。今年の2月にオープンしたばかりの同店舗は、10台以上を停められる駐車場を持ち、店内は明るく広い。

訪れたのは午後3時というアイドルタイム真っ盛りの時間帯だったが、まばらながらも客足が途切れることはなかった。

同店の平岡店長に話によると、朝から夜までまんべんなく来客があるという。客層はドライバーに加え、目の前にあるJU埼玉オークションセンターという業者専門のオークション会場の職員やそこを訪れる人。

朝から夜までまんべんなく客が来るという岩槻笹久保店(撮影:梅谷秀司)

さらに家族連れも多い。駅からは遠いうえに、周囲に飲食店もなく、車が行き交うばかりの土地だが、商売的には間違いなくブルーオーシャンなのだ。

ゆで太郎システムは現在、東京や神奈川など首都圏に加え、東日本各地や遠くは福岡県にも出店している。中には駅前など繁華街への出店はあるが、その多くは郊外のロードサイド店である。

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