「体が硬い人」が知らないストレッチの常識 「思い込み」から抜け出すことから始めよう
私がストレッチを指導するときに引用する、ある研究者の言葉があります。
この言葉のとおり、どこを伸ばしても「気持ちいい」のがストレッチ。もし気持ちよく伸びないなら、やり方が間違っているのかもしれません。
伸びているつもりが伸びていない
よく見かけるのが、ターゲットの筋肉を伸ばしているつもりが伸びていないケース。これは自分の体に合ったポーズではないからです。ストレッチというと、一方向にまっすぐ伸ばすイメージがありますが、筋肉のつき方や形状によって、伸ばす方向を変えたり周囲の筋肉の抵抗を緩和したりといった、気持ちよく伸ばすための工夫が必要です。そうでないと、ターゲットとなる筋肉が持つ柔軟性の伸びしろを生かしきれません。
試しに、イラストのように座位で前屈をしてみてください。骨盤を立てる(左)のと立てない(右)のとで、 伸び感がまったく違うことを実感できるでしょう。ほかにも伸ばす方向や呼吸、時間などをセオリーどおりに行うだけで、気持ちいい伸び感を得られることがあります。
ぜひ、あなたにとっての気持ちよく伸びる方法を見つけてください。
「体にいいのはわかるけど、ひざも腰も痛いからストレッチなんて無理」。
つらい痛みを抱えていると、ストレッチのような簡単な動きでも縁遠くなりがちです。でも、そういう人こそ動かせる部分だけでも積極的に動かしていただきたいです。
私たちの体には毛細血管が張りめぐらされており、昼夜問わず酸素、糖質、脂質などが全身に運ばれています。ところが筋肉が緊張していると、その周囲や内部に走っている毛細血管を圧迫し、ひどくなると損傷するケースも。当然、血流は悪化しエネルギー源となる栄養素と酸素をスムーズに運べなくなって、老廃物が蓄積します。
このとき体に警告をするために放出されるのが、ヒスタミンやブラジキニンといった痛みを感じさせる物質です。これらが分泌されると、こりや疲労、痛みや不快感が生じるわけです。
筋肉が緊張して硬くなり、痛みが生じたまま伸ばすと「イタタタ」となり不安や恐怖でひるむかもしれません。でも筋肉は、動かさないと衰えて硬くなるばかり。収縮した状態からさらに過緊張が進んで血行不良は解消されないままでは、こりや痛みも消えません。この「痛み→緊張→痛み」の負のスパイラルを断たなければ、 将来的に筋肉量減少や筋力低下を起こし、さらには自分の脚で歩けなくなるおそれもあります。
痛みの解消には、なんらかの方法で血行を改善し発痛物質の分泌を抑えることが必須です。その最適な方法が、筋肉の緊張をほぐしリラックスさせるストレッチ。動かせる部位だけでも痛まない範囲で続けるうちに、痛みの原因部位が変化することもあります。医師に相談しながら無理のないポーズを選び、できるものを試してください。
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