安倍昭恵さん登場、女性の権利について話す
イベントの内容も非常に洗練されていました。安倍晋三首相夫人・昭恵さんの冒頭挨拶では、芸能事務所役員・谷口元一氏による脅迫事件などの被害を訴えて話題になった、「ミス・インターナショナル2012」グランプリの吉松育美さんの話を引き合いに出し、女性の権利について夫人の考えをお話しされました。傍聴している男性陣も身が引き締まるような話。テレビの取材が入っていたのに対して「まあ報道されないでしょうけど」と皮肉を込めた発言をし、参加した女子高生も女性を取り巻く社会問題に対する意識が高まったように見えました。
夫人の挨拶の後は、「女性のロールモデル」として、社会で活躍する女性3人、後藤由美さん(日本コカ・コーラ副社長)、宮川典子さん(自民党衆議院議員)、坂東眞理子さん(昭和女子大学学長)を招き、イベント代表の町田彩夏さん(市川高校3年)の4人でパネルディスカッションが行われました。
町田さんは、高校の生徒会長選挙に立候補したときに「女のくせに」と陰口を叩かれた経験談を語り、ほかの3人の方がそれぞれ、女性としての生き方や、女性らしさとは何なのかについて持論を展開。とくに宮川議員のお話はインパクトがありました。ご自身の力強い性格で、女性社会の中で「男役」を務めてきた経験から、「女性という壁を感じたことはない」「日本人の女性は、壁を自分たちでつくっている」「女性が『女なんだから』と言うことが多いのは、女性による女性蔑視である」と。男女共同参画の大号令に従っていろいろと模索しつつ女性に気を遣っている男性陣にとっては、かなり刺激的な意見でした。
発想力と奇抜さにあふれた「Girls’マニフェスト」
パネルディスカッションを終えると、グループごとに別れて、さまざまなテーマでディスカッションをしました。女性の社会進出や家族の問題、震災復興まで、各グループで「Girls’マニフェスト」を策定。グループごとに女性のロールモデルとして識者の女性が付いて、議論をファシリテートしました。震災復興がテーマのグループでは、震災を経験した東北の学生が約半数を占め、空論が一人歩きすることなく現実的な議論が交わされていたのが印象的でした。
2時間にわたるディスカッションの末、導き出されたマニフェストは、女子高校生らしさ全開で、発想力と奇抜さにあふれていました。役人の議論では絶対に出てこないであろう「一夫多妻制」「一妻多夫制」を明言するグループもありました。女性の権利を侵害するようなテレビ番組の情報をツイッターでリアルタイムにシェアできるシステムのアイデアを出したグループは、発表の段階ですでにアカウントを作成して稼働させ始めました。
われわれ男性にはわかり得ない女性の考え方が、マニフェストの域を飛び越えて実際に行動に現れていました。女性は直感で動くという話はよく聞きますが(それがステレオタイプになってしまうのは良くないですが)、それを目の前で見せられた思いがしました。
もちろん、女子高校生が言ったことがすべて正しいわけではないでしょう。傍聴席にいた主婦の方は、「まだ家族を持っていないからわかっていないことも多い」「現実を見て考えるか、理想を考えるか、どちらが良いのか」と疑問を呈していました。
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