お笑い番組でしつこく「笑い声」が入る深いワケ 私たちはこっそりコントロールされている
パーティーに押し入った強盗に、パーティー客がワインとチーズを勧めたところ、「すいません」と言って立ち去ったという。強盗も、恩義を受けたままの状態が嫌なのである。このように「返報性」は実に強力だが、防御法もある。
最初の厚意を受けたら「相手の厚意か? 販売手段か?」を見極め、判断することだ。試食品の場合、気に入った試食品でなければ手を付けないこと。ちなみに試食品をすぐ食べる私は、妻から「ダメ、絶対」と禁止されている。
決めたことを自分では放棄しにくい心理を巧みに利用
最初に決めたことを一貫性持ってやり続ければ、私たちはいろいろと考えずに済む。
人には「決めたことやコミットメントは守りたい」「自分の選択は正しいと思いたい」という欲求がある。集団で生きてきた人類は、このおかげで社会を発展させてきた。
一方でカルト宗教に入信した普通の人たちが常識では考えられない行動をするのも、このためともいえる。周囲が強く反対しても「自分の選択は正しい」と信じ込み、ますますハマる。「入信した最初の自分の判断は、絶対に正しい」と信じているからだ。
これをずる賢く悪用する者もいる。例えば車の販売店で、顧客に車の価格を大幅に安く提示し、まず顧客に買う決心をさせる。購入書類を何枚も記入させる。1日試乗もさせる。こうしている間に顧客は「自分はいい買い物をした」と思い込む。
そして「お客様、大変申し訳ございません。エアコンの値段を加算し忘れました」
これで最初の値引きはなくなるが、すでに買う判断をした顧客が購入を撤回することはほとんどない。これは「承諾先取り法」と呼ばれる。一度購入をコミットすると、後で悪い条件が出ても撤回しにくい。詐欺同然の手口だ。
防御方法はある。本来、一貫性はよいことだ。しかし、なかにはバカげたものもある。途中で「おかしい」と思ったら、手遅れになる前に早めに一貫性を放棄することだ。
また、取調室で2人の刑事が容疑者を取り調べていて、1人の刑事がキレまくっている。
「やったのはおまえだ! ブタ箱にぶち込んでやる! 最低、懲役5年だな。吐け!」
「おいおい。ちょっと手荒すぎるぞ。外で頭を冷やしてこいよ」
キレた刑事が出た後、残った刑事がコーヒーを勧めながらやさしく声をかける。
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