お笑い番組でしつこく「笑い声」が入る深いワケ 私たちはこっそりコントロールされている
街頭で「打ち合わせなしのインタビュー」を装い、有名人が一般人に「この商品の感想は?」と直撃インタビューするCMも、普通の人が使っているとアピールするためだ。
これらを防御するには、意図的な歪みに気づくことだ。お笑い番組の笑い声は録音だし、有名人が一般人に打ち合わせなしで街頭インタビューをするなんてありえない、と気がつけば「思考の近道」のスイッチを解除できる。
私たちは、気づかないうちにコントロールされている
このように私たちは、自分で考えているつもりでも、実はかなり他人の影響を受けている。アメリカを代表する社会心理学者のロバート・B・チャルディーニは、世界的なロングセラーである著書『影響力の武器 第三版』で、その仕組みと対処法を紹介している。
本書ではセールスや募金勧誘業などへのリアルな潜入体験が盛りだくさんだ。だから説得力がある。アメリカを代表する教授がこんなことをやっている。考えてみたらすごいことだ。
私たちは普段の生活で「思考の近道」を使っている。つねに考え続けると疲れてしまう。だから思考を省略してもいいとき、人は簡便法を使うのだ。
私たちが商品を買うとき、品質が価格に見合うかを詳しく調べずに、「高いからいい商品なのだろう」というスイッチが入るのはその一例だ。このおかげで私たちは、日々の生活で大量の判断が必要でも対応できる。
ただ、なかにはこの思考の近道を悪用し、詐欺まがいの方法で相手にイエスと言わせる者もいる。本書は相手にイエスと言わせる戦術を心理学の原理に基づき6つに分類している。
お笑い番組で流される録音された笑い声は、この6つのうちの1つ「社会的証明の原理」だ。本書で紹介された、これ以外の5つについても簡単に紹介していこう。
わが家が買い物をする近所のデパ地下では、つまようじをお総菜に刺した笑顔満点の店員が、「ご試食どうぞ〜」と声をかけてくる。確かにおいしいものも多い。しかし試食を一度食べたら、ほぼ買うことになる。店員と話し込んだりすると確実だ。
これが「返報性」だ。人は相手に借りをつくった状態は不快なので、返そうとするのだ。カフェで奥様同士が「ここは私が払います」と伝票を奪い合うのもこれと同じである。
最初に小さな貸しをつくれば、相手はそれ以上を返さないと気が済まなくなるのである。
この応用方法が本書で紹介されている。アムウェイの販売員極秘マニュアルだ。「顧客に『無料試供品バッグをご自宅に3日間置かせてください。試しに使ってくださいね』と伝え、3日後に試供品バッグを回収し、注文を取りなさい」というもの。信じられないほど売れるそうだ。
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