知らないと損、「給与明細」の読み方6ポイント 確認せずに捨ててしまうのはもったいない
5つ目は、控除欄の各種保険料および税金です。
まず、労災保険料ですが、労災保険料は会社が100%保険料を負担する義務がありますので、万一、社員の給与明細から労災保険料が控除をされていたら違法となります。
雇用保険料は、時間外労働手当や非課税通勤手当を含んだ総支給額に対し、0.3%(建設業など一部の業種では若干異なる率)を乗じた額が控除されます。
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は、複雑なルールに基づいて控除がされますので、よほど給与計算に精通していなければ正しいかどうかの確認はできません。大ざっぱには、総支給額に対し、健康保険料はおおむね5%、厚生年金保険料はおおむね9%、介護保険料は40歳以上の場合におおむね0.9%の数字が控除されていれば正解と考えてよいでしょう。なお、介護保険料は、個別項目ではなく健康保険料の内数として控除されている場合もあります。
税務署の「月額表」を見て確認する
所得税については、税務署が「月額表」という書類を出しており、この表を見れば、課税所得と被扶養者数に応じて、何円の所得税を源泉控除すればよいかが示されています。毎月でなくても構いませんので、「こういう仕組みで所得税が控除されているのだ」ということを知るために、1回は給与明細と月額表を突き合わせてみるとよいでしょう。月額表は、税務署で入手するか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。
住民税については、住所のある市区町村から通知があった額をそのまま控除します。毎年5月か6月に会社から、今年の住民税の控除額の一覧表が個別に渡されるはずですので、その一覧表と控除額が合っているかをチェックしてください。会社から一覧表が渡されていない場合は、会社に依頼をして入手をしてください。なお、住民税は前年の所得に対して徴収されますので、新入社員の方は原則として住民税の控除はありません。
6つ目は、控除欄のそのほかの控除項目です。
雇用保険料、厚生年金保険料、介護保険料、所得税、住民税は、法定の租税公課ですので、法律上当然に控除をすることができます。
しかし、労働組合費、食事代、親睦会費など、法定外の控除を勝手に会社が行うことは違法です。控除する場合は、「労使協定」という書面を会社と労働者代表が取り交わしていることが必要です。法定外の控除が行われている場合は、社内に労使協定の根拠があるか確認をしておきましょう。
なお、労使協定があったとしても、本人の利便や福利厚生に関連した控除ではなく、意に反した強制貯蓄や、就業規則に根拠のない罰金の天引きなどは労働基準法違反となります。
ここまで給与明細の見方を法的な観点も交えながら説明してきましたが、給与は労働の対価ですので、自分の権利を守るためにも、自分の給与明細が正しいかどうかをチェックできる知識は持っておきたいものです。
労使関係が円満な会社を前提に考えても、給与計算のルールは複雑ですので、悪意がなくてもエラーが生じてしまうこともあります。ダブルチェックという意味も踏まえ、働く人も給与明細に関心を持ち、重要なポイントについては確認をできる知識を持っておくことが望ましいでしょう。
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