──旅の醍醐味は何ですか。
旅の間、記憶が非常に鮮明になった体験はないでしょうか。一コマ一コマを覚えているといったような。そういった自分にとってプラスの刺激の連続が醍醐味の1つだと思います。
また異文化を体験すると、自分の常識が崩れる瞬間があります。当たり前と信じていたことが、「場所や人によって違うんだ」というふうに。そういった発見は、日常を見直すきっかけになります。それも旅の醍醐味ですね。
本書はあくまで「一人旅のすすめ」で、「放浪のすすめ」ではありません。放浪のように長い間の旅を続けると、旅が日常そのものになってしまいます。そうなると旅から受ける新鮮さがなくなり、異文化からの刺激も感じにくくなってしまいます。日常という帰る場所があるからこそ、非日常の旅は生きるのです。旅から新鮮な刺激を受けるには、旅を日常のレベルにしないという点が大切です。
人生の節目に「旅」があった
──来し方を振り返って、旅とはどんなものでしたか。
旅は「人生の道しるべ」ですね。人生の節目に旅がありました。
例えば、トラベルライターの仕事をするようになったきっかけ。これは、学生時代のニュージーランドへの貧乏旅行でした。クライストチャーチの大聖堂前でたまたま出会った人が『地球の歩き方』の初代編集長でした。夜にパブでビールとご飯をごちそうになったうえ、その晩は野宿の予定だったのが彼の泊まっていたホテルの床で寝ることができました。
翌朝、ホテルを出発するときには、軍資金として1万円を渡されました。貧乏旅行の学生にとって、旅先の1万円はかなりの額です。どうにかお返しできればと、帰国後に編集室を訪ね、ガイドブックの編集を手伝うようになりました。
また「トラベルライターとして生きていこう」と決めたのも、旅がきっかけです。サラリーマン生活を送っていたとき、香港、マカオへ旅行していて「旅を伝える仕事がしたい」と思い、トラベルライターの道を選びました。まさに旅が人生の決断を促し、生きるヒントや目標を見つけるきっかけとなってきましたね。
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