なぜ中国の現場力は、日本より著しく低いのか それでも、日本と中国は補完関係を築ける

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現場を軽んじる中国、匠の技を大切にする日本

中国では、技術は買って、教えてもらえれば、簡単に入手できると発想するのが一般的だ。そもそも、中国の博士コースに進む技術者は、理論派が多く、現場をあまり大切にはしない。

なぜ、そうなるのか。中国の学生は共産党員にならないと出世できない。だから猛烈に勉強をする。優秀な学生の大半は、初めは技術系を志望する。共産党に入党するには技術系が一番手っ取り早いからだ。従来は技術系=軍事技術との見方が一般的であり、政治や経済に適性がある学生でも事務系に進まず、技術系の博士課程に進んだのである。

ちなみに胡錦濤政権時代の9名の党首脳のうち、8名は技術系学部の出身だった。習近平政権になってからは、文科系が圧倒的に増えている。実は習近平も清華大学の法学博士だが、以前は、化学系だった。

大きな権力が、意思決定機関にあるのは言うまでもない。だから、中国は大きな流れ、即ち「着眼大局」を旨とし、着手は傍流、すなわち小局であり、現場には目が向かないのかもしれない。

従って、工場や研究機関でも、それぞれのリーダーたちは、現場にはほとんど興味はない。政治、経済、人事や労務に関心が向かうのである。実際、組織上でも、現場を守るのは技官(下級研究者)の仕事だから、現場の仕事をついつい軽く見てしまうのだ。国有系の企業は特にそうで、幹部社員の仕事といえば、政治や労務であり、細かい作業が行われる現場を回ることはきわめて少ない。一方、日本の工場長や幹部研究者は、毎日最低でも一回、現場を回るのは当たり前だ。

確かに、この10年間、中国の技術は、外国からの最新設備の導入で驚くほど発展した。だが、裏を返せば、設備投資さえ実行すれば、いくらでも売れたので、極端な話、苦労して創意工夫をする必要などなかった。前述のように、現場を軽く見ているから、基礎的な技術体験を軽んじたまま、リーダーになった技術者が多いのである。

これが日本だと、例えば「9N」(99.9999999)の純度や精度を達成するために、異様なまでに努力する。実際、達成するために、何が必要になるか、正解は必ずしもなく、微妙な問題だ。最新の精密な機器でも、分析精度は「6N」までしか確立していない。それでも、現場では、何とか精製工程を増やして、「7N」や「8N」や「9N」にまで高める工夫をしている。本当に純度が上がったかどうかを確認する術はなくても、常に上を目指す。

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