今村:人生の節目節目で、もしくは日常的に、日々のカスタマーの動きを押さえている。これは強みでしょう。
瀧本:ビッグデータと言っても、多くの会社は同じ取引ポイントに関するデータを人数と回数で持っている。でもそれなら無作為にサンプルを抽出しても同じことだから、データを分析する意味はあまりない。
その点、リクルートはいろんなデモグラフィックの人のデータを広くいろいろなオケージョンで押さえているから、本当の意味でビッグデータを持っている。ところが、そういう分析をするための人材がリクルートに来るかというとあまり来ないし、そういうリテラシーも社内にない感じですね。
今村:先にお話しした通り、採用と育成を強化しています。データを分析する人材も仲間に加わり始めています。
瀧本:そういう人材からすると、今のところリクルートはまだ「入りたい会社」とは思えないような気がします。たとえばDeNAとサイバーエージェントとリクルートだったら、会社の規模からしてリクルートが勝ちそうなものですけど、実際にはDeNAとかサイバーエージェントのほうが採りやすいかもしれない。そういう意味では今のリクルートが、かつて僕の抱いていたイメージとは違う会社になっていることが、必ずしもユーザーに伝わっていないんじゃないでしょうか。
今村:そこをなんとかしたいんですよね。採用のブランディングは企業のブランディングに直結しますから。ぜひ僕が人事の仕事をしているうちに強化したいと思っています。
「カネ、カネ」文化からの変化
瀧本: これから10年先、20年先を考えたとき、どういうことをしたいとお考えですか。
今村:そうですね。引き続きグローバルを拡大していると思いますが、国内でもまだ「伸びしろ」はいくつもあるととらえています。
瀧本:「伸びしろ」というのもリクルート用語ですね。ほかではあまり聞かない。「白地」とか。
今村:国内でいうと、いま事業会社各社が将来の事業開発テーマを考えてもらっています。たとえば介護の問題とかシニアの活用とか社会的な課題の中に、リクルートのやれることはけっこうあると思っています。でもこうしたテーマは今、始めても、もしかしたら10年間はずっとやり続けていかないと解決できない問題かもしれません。そういう骨太な社会課題の事業開発を長期的にやっていきたいと思っています。
瀧本:そうなんですね。僕の親しいリクルートの人も、「うちの会社はずっとカネカネ言ってたのに、最近、変わってきている。そうじゃないと若者がついてこないのかな」と言っていました。
今村:経営理念の中にも「社会の期待に応える」とあるので、まさにその通りです。また、たとえば高齢化なんて日本だけの課題ではないので、成功すればそのソリューション自体を海外へ輸出するというモデルも考えられる。そんなことも視野に入れながら、いかにこれから事業開発していくかということをやりたいですね。
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