ところで、商用車の世界でもADASは着々と標準装備化や義務化が進んでいる。日本における大型観光バスでは、2013年1月27日に発表された道路運送車両法の「保安基準及び細目告示の改正」に記されているとおりで、ここではAEBS、いわゆる「衝突被害軽減ブレーキ」の義務化が織り込まれた(立ち席のある路線バスは現在、対象外)。もちろん衝突被害軽減ブレーキはエアロクィーンとエアロエースにも標準装備だ。加えて2車ではさまざまなADASも搭載されている。
2車で注目のADASは日本市場では初導入となる「アクティブ・サイド・ガードアシスト」だ。これは車両左側方の歩行者/自転車/車両を、車体左・側方部に取り付けられた77GHzのミリ波レーダー(上下2段式で扇角度は168度)で検知し、それらとの接触の可能性が高まった場合に、ドライバーに対して2段階(黄色→赤色)の警報ランプとシート座面左側を振動させることで回避動作を促すシステム。プロフェッショナルドライバー向けの装備であるため、システム側ではブレーキ制御は行わず、あくまでも警報とシート座面振動でドライバーに回避動作を促す。こうした考え方が乗用車との相違点だ。
歩行者検知機能が追加
衝突被害軽減ブレーキは「ABA4」と名付けられたシステムを搭載する。これまで販売されていた2017年モデルでも、走行中の自車前方に停止車両もしくは走行車両がいる場合、相対速度80km/h以内であれば衝突せずに完全停止する「AEBS2.0」(2019年11月施行予定)に対応した「ABA3」を標準装備していたが、2019年モデルではそれに歩行者検知機能が加わっている。
これは横断歩道を歩行中の人物を対象としたもので、その場所にとどまっている人物には現在のところ対応していない。エアロクィーンとエアロエースではミリ波レーダーのほかに車両前方中央部分に光学式カメラセンサーを採用しているが、現時点ではこの光学式カメラセンサーは車線逸脱警報装置「LDWS」として用いられ車線の白線や黄線を認識するにとどまっている。
「ドライバー異常時対応システム」の標準装備化も行われた。これは2016年3月末に国土交通省が公表した世界初のガイドライン「ドライバー異常時対応システム」に則ったもので、2018年夏に日野「セレガ」や、いすゞ「ガーラ」にも標準装備化されている。
国交省のガイドラインには、①/徐々に減速して停止する「単純停止方式」。②/車線を維持して停止する「車線内停止方式」。③/車線を維持し減速し可能な場合に路肩などに自動操舵を行う「路肩退避方式」の3種類が検討されていて、現在、国内商用車メーカーでは③を実現するテスト車両も存在するが、法規との兼ね合いもあり市販車には①/「単純停止方式」が採用されている。
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