三菱ふそう「大型観光バス」の知られざる進化

最新モデルの試乗で体感した「先進安全技術」

周回路を走行する大型観光バス「エアロクィーン」と大型トラック「スーパーグレート」(筆者撮影)

ドライブフィールにも簡単に触れておきたい。今回の試乗は、三菱ふそうの喜連川研究所内にある高速周回路で行った。従来型が搭載するエンジンから排気量にして約40%もダウンサイジング化(12.8l→7.7l)が図られたが、同時に従来型のエンジンに対して最大で540kgの軽量化を図ることにも成功し、実用燃費数値が大きく向上した。

さらにトランスミッションのAMT化と同時に、これまでの6速から8速となり各ギヤ段の受け持ち速度域が細分化されたことで、ダウンサイジング化により懸念される低中速域におけるトルク不足にも対応している。

微速域の走行フィールはスムーズ

大型観光バスでは頻繁に遭遇する20km/h程度までの微速域での走行フィールは徹底的にスムーズだ。従来型のクラッチペダルのある3ペダル方式では乗客の頭がフラつかないように左足の繊細なクラッチリリース操作で行っていた滑らかな発進を、ゆっくりとしたアクセルペダル操作を行うだけで再現できるのだからありがたい。

一般的に「ディーゼルエンジンは低速域からトルクが太く運転しやすい」と言われるが、じつは最新のディーゼルエンジンはNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)の値に対する厳しい排出ガス規制をクリアするため、アイドリング回転数直上の回転域では大型商用車向け大排気量エンジンであってもトルクが細め。よって、上り勾配路などで先の滑らかな発進を行うにはアクセルとクラッチの両ペダル操作をミリ単位で行うことが要求されていた。

「ShiftPilot」の操作レバー(筆者撮影)

テストコースでは安全に走行性能が試せるため、非日常的な運転操作ながら完全停止状態からアクセルペダルを全開に踏み込んでみた。すると、一瞬の間を置いて車体が蹴飛ばされるようにグンと前に出る。その後、2→3→4速ギヤへとリズミカルにシフトアップが行われ最高出力381PSを発生する2200回転を200回転ほど超えた2400回転付近で一般道路での法定速度60km/hに達する。そのままアクセルを踏み続ければ、電子制御の速度リミッターが作動し115km/hを上限にしずしずと走り続ける。

ちなみに、このときのエンジン回転数は約1600回転。100km/hでは約1450回転、80km/hでは約1200回転(いずれもギヤ段は8速)だが、最大トルクの1400Nm(1.5lガソリンエンジン車の10倍以上!)は1200~1600回転で発揮し続けているから、前面投影面積の大きな観光バスのボディ形状であっても走行性能に不足はない。

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