三菱ふそう「大型観光バス」の知られざる進化 最新モデルの試乗で体感した「先進安全技術」

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併走する大型観光バス「エアロクィーン」と大型トラック「スーパーグレート」(筆者撮影)

今回は大型観光バスの試乗だったが、同時期に試乗した大型トラック「スーパーグレート」も大きく進化している。商用車、とりわけ大型商用車はモデルチェンジサイクルが長く、例えばエアロクィーンやエアロエース、そしてスーパーグレートの基本的な骨格は20年以上継続的に使われている。もちろん、ベースシャーシなどに使われている鋼材は時を経て強固になり、構造形式にも新しい思想が部分的に導入されているが、新型とはいえ乗用車のように一から作り直すことはごくまれだ。

しかし、大型商用車はプロフェッショナルドライバーが使う“道具”であるわけで、その意味では長年継承されてきた道具としての使いやすさ(≑業務を行ううえでの運転操作のしやすさ)は定量化されている。よって、こうして昇華を継続することも大切であると、これまで20年以上取材を続けた三菱ふそうの技術者たちは口をそろえる。

ADASだけで事故は完全に防げない

昨今、大型商用車が関係する事故の報道を見聞きすることが増えたように思える。ドライバーの高齢化も一因として挙げられているようだ。だからといって、衝突被害軽減ブレーキやドライバー異常時対応システムなどのADASさえ車両に装着されていれば、そうした事故を完全に防げるというものではない。

エアロクィーンと筆者(筆者撮影)

例えば大型トラックで言えば車両重量の2倍近い積荷を積むこともある。そのため荷重変動や路面状況の変化をドライバーに伝え続ける基本的な設計思想が重要であると言われている。また、ドライバーへの身体的負担の軽減などが織り込まれた車作り(例/外乱に強い直進安定性)など、過去の技術者が大切にしてきた部分は、この先も継承されるべきだ。

そのうえで、衝突被害軽減ブレーキやドライバー異常時対応システムなどの手助けが加わり、そしてそれらADASの普及(標準装備化)と同時に、正しく付き合うことを伝え続けることで初めて、観光業や物流業がより安全な環境へと導かれていくのではないかと思う。この先も、大型商用車の技術進化に注目していきたい。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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