日本サッカーの未来は暗いのか? サッカー解説者、セルジオ越後氏に聞く
創業時の美しい理念が、変わってしまった
──14年は日本サッカーにとって節目の年になるのでしょうか。
どうですかね。日本にサッカー文化はそんなに根付いていないですよ。たとえば、補欠というのはスポーツにあってはいけない言葉。補欠はチャンスをもらえていない人たちのこと。それはすごくいけないことなのに、日本では褒めるのね。
リザーブと補欠の違いは、リザーブはベンチで順番を待つが、補欠はスタンドであきらめている。試合に出られないのに、拘束されている。日本では、1試合も出ないのに一生懸命練習するのが美しいとかね。これではお勤めだけして、仕事をしない社員を育てているようなものだ。
日本にはプロスポーツもほとんどない。野球もサッカーも企業スポーツだ。都市対抗野球とプロ野球は予算が違うだけ。球団の社長は部長と同じで経営者ではない。だから(読売巨人軍の)清武(英利・元球団代表)さんはちょっと暴れると潰された。Jリーグのクラブも親会社から出向で来る。Jリーグの人事は経済新聞の人事面で発表される。僕もいろんな社長と話をするけど、「いつまでいるかわからないので、経営ができるはずがない」とこぼす。読売グループが撤退すると、ヴェルディの経営が危なくなる。企業が撤退したらチームが危ないというのは、これ、企業スポーツということでしょ?
──Jリーグが誕生して20年が経ちました。
バブル経済のときに誕生して、当時はすごい勢いがあった。でも、バブル崩壊で予算はカットされた。景気が悪いので待っていてもダメになる一方だから、どこかからおカネを引っ張ってくるなり、体質を変えないかぎりJリーグは元に戻らない。
各クラブは儲からないが、本部(日本プロサッカーリーグ)は潤っている。クラブは本部の支店になっちゃった。本部が成り立つために、支店を閉鎖するかというところまで来ている。それは企業がよくやることじゃない? 監査がどう行れているとか、理事がどう決められているとか、報道されないからよくわからない。創設時の美しい理念も、20年経ったら変わっちゃった。
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