「夫の虐待」に強烈な嫌悪感を覚えた彼女の告白 子への行き過ぎた体罰と暴言が離婚の引き金に

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バツイチ夫の連れ子2人をかわいがっていた彼女が「キレた」要因とは?(筆者撮影)
単純計算すると3組に1組の夫婦が離婚している日本。そこに至るまでの理由は多種多様だ。そもそも1組の男女が、どこでどうすれ違い、別れを選んだのか。それを選択した一人ひとりの人生をピックアップする本連載の第12回。

21歳で連れ子2人のいる男性と結婚

「結婚って、なんだったんだろうと思いますね。結婚に憧れはあったんですよ。でもあとになって思うと、結婚って我慢なのかもしれない……と思うんです。しょせん、結婚も離婚も紙1枚じゃないですか。今思えばたかが紙1枚、されど紙1枚でこんなにしんどいのかと。本当に、紙1枚なのに」

吉田恵子(仮名・50歳)さんは、そう言ってうつむいた。

恵子さんは、21歳のときに、地元の飲み屋で知り合った豊さん(結婚当時・29歳)と結婚し、10年以上にわたる結婚生活を経て、33歳で離婚した。

もともと豊さんはバツイチで、恵子さんとの結婚当初は9歳と4歳になる前妻の息子がいた。

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そのため、成人になってから間もない21歳という若さで、連れ子たちとの共同生活が始まった。連れ子との生活は意外にも楽しかった。連れ子たちは、すぐに恵子さんを「かあちゃん」と呼ぶようになり、恵子さんに懐いてくれた。

しかし、子どもたちが成長するにしたがって、家事は過酷を極めた。結婚当初は、豊さんも家事を手伝ってはいたが、そのうち面倒くさそうな態度を取るようになり、家事のすべてを恵子さんが引き受けることになったのだ。

高校に入ると、連れ子の長男はラグビー部に所属したため、食欲旺盛になり、米を毎朝3合炊くようになり、ボリューム満点の弁当と特大のおにぎりが必要になった。

「男の子だから、『お前ら、どんだけ食うんだよ』っていうくらい作らなきゃいけないんです。大きいホットプレートを使って、どかんと食べられる焼きそばを作ったり、唐揚げを何時間もかけて、大量に揚げたりしてましたね。

育ち盛りの男の子なので、とにかく量を作れるものが優先になるんです。一般家庭のようにおかず5品とかは無理なので、カサが多いおかずとご飯と味噌汁と漬物というメニューです。同年代の友達には『恵子は本当に、よくやるよね』と感心されていましたね」

恵子さんも慣れない家事に翻弄されつつも、ささやかな生活に幸せを感じていた。

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