日本が「関税フリー」な貿易を大きく広げる意味

日欧EPA、TPPなどを進め勝ち組になれるのか

生産拠点を海外に移すのもEPAの目的の1つだが、少子高齢化が進む日本にとって、これ以上生産拠点を海外にシフトする意味はそう大きくない。

ちなみに、日本企業の海外進出数は7万1820拠点(2016年10月1日現在、海外在留邦人実態調査、海外進出日系企業実態調査、外務省調べ)に達しており、前年に比べて過去最多の増加となっている。過去5年間で1万1032拠点増え、約18%の伸び率を見せている。

地域別に見ると、全体の45%を中国が占めており、2位アメリカの12%を大きく上回っている。インドも同じく6.4%で、ここにドイツ、インドネシア、タイ、ベトナムが続き、上位12カ国で全体の8割を占めている。

これらのデータを見てわかるのは、ほとんどの日本企業が生産拠点を求めて中国へ進出した、という時代は終わりを迎え、現在は日本製品を売り込む巨大なマーケットを目指して海外進出していると考えたほうがいいのかもしれない。

国内は慢性的な供給過多の状態に!

いずれにしても、日本はとりあえず11億人を超える人口の自由貿易圏に参入することになった。その結果として、格安な世界各国の農産物や食料品などが大量に入ってくることになる。

一方で、海外からの労働人口も確実に増え続けていくだろうし、海外企業も日本市場進出の拠点として「製造拠点」を日本に求める企業が現れてくるかもしれない。

問題は、日本の国民がこうした急激な国際化に順応できるかどうかだ。外国人観光客を大量に受け入れ始めた日本政府だが、外国人観光客の大量誘致はある意味で「輸出」なのかもしれない。しかし、一方で外国人労働者の急増という現象を招く可能性もある。

日本が自由貿易圏に参入したことで、いったいどんなマイナス面が出てくるのか。具体的には次のようなデメリットが考えられる。

①国内は慢性的な供給過多状態に陥りかねない
②日本国内の競争がより激化する恐れがある
③資本に余裕のある大手企業が海外に拠点を移す動きが増える可能性がある
④中小企業中心の国内産業構造となり経済成長のブレーキとなるかもしれない

今回の日欧EPA発効をただの自由貿易時代の幕開けとみるだけではなく、日本企業は輸出戦略をきちんと立て直す必要がある。今回の日欧EPAでは、2027年には日本車の関税が欧州でゼロになる。そのときにまだ日本車の人気が維持できていればの話だが、日本経済にとっては大きな追い風になるはずだ。

もっとも、自動車部品に関しては92%の品目で、関税が即時にゼロになった。そのほかにも、日本酒などの関税もゼロになったのだが、心配なのはこれらの企業の多くが「中小企業」だということだ。

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