日本が「関税フリー」な貿易を大きく広げる意味

日欧EPA、TPPなどを進め勝ち組になれるのか

例えば、日本の良質だが価格の高い牛肉製品や農産物といった製品を海外で売り出すためには、当然ながら莫大な資金が必要になる。日本酒や自動車部品の関税がゼロになったとしても、中小企業が多いため、資本に余裕がなく、資金調達も難しい。結局のところは、日本が自由経済圏に参加してもメリットは少ないのかもしれない。

周知のように、輸出などの貿易産業はある程度の企業規模と資金力が必要だ。日本企業の中でも、大手企業はトータルで1年分のGDPに匹敵する莫大な「内部留保」をため込んでいるが、中小企業はそうはいかない。

とりわけ、日本は株式市場での資金調達がスムーズにいかない現状がある。銀行は、超低金利どころかマイナス金利にあえいでおり、海外に進出する日本企業に資金を融資したがらない。

自由貿易市場で日本が勝ち組になるには

日本が自由貿易市場で勝ち組になるためには、資金的に余裕のない中小企業でも、海外に進出して新しいマーケットで勝負ができる環境づくりが必要だ。中小企業が多いがゆえに生産性が上がらず、効率的な輸出もできない。それが日本の構造的な問題と言っていい。

さらに、日本人がどんどん海外に出て日本製品を直接売る姿勢も必要だ。日本の大企業の多くは海外拠点へ社員を送る際、一部の製造業を除いて任期数年ですぐに帰国させてしまう。海外に骨をうずめる覚悟で赴任していくといわれる中国や韓国のビジネスマンとは大きな違いがある。

日本のビジネスマンの海外での赴任状況も、「現地化」の名のもとに、日本人自身がマーケットを開拓しないスタイルが当たり前になっている。

中国に進出しているコンビニやアパレルメーカーなども、日本人は数人を残して事業を展開しており、台湾のスタッフに中国進出を丸投げしているコンビニのケースもある。

しかし、今後はこうしたビジネスが通用しなくなる可能性はある。イギリスは、自由経済圏の最前線をいくEUから離脱しようとしてあえいでいるが、自由経済圏に参加することの意味を日本国民はまだよく理解していないのかもしれない。イギリスの今の姿を未来の日本の姿に重ねる視点も大切だろう。 

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