親から子へ「もし寝坊しても親は起こさない」と前夜に告げたうえで、実際に翌朝、本当に起こさないということをします。子どもは起きるべき時間が過ぎて、例えば8時30分くらいになってびっくりして、起きてきて次のように言うでしょう。
もちろん、家では学校に、これこれこういう理由で遅刻しますと連絡は入れておきます。この方法で、多くの子どもが翌日から自分で起きて学校に行くようになったという報告をこれまでたくさん受けています。もちろん、この方法が万能とは言いませんが、かなりの確率で効果を上げています。
しかし、一方で、単にだらけていることが原因ではない場合があります。そのような場合は先ほどのような仕組みによる解決方法はまったく無効となります。
そうした子どもに対しては、「時間を守ることの大切さを説く」「改善する仕掛けを作る」「叱る・怒る」「親が監督管理する」はすべて徒労に終わる可能性があります。そして森田さんのお子さんは、ご質問から推察すると、おそらくこの「無効」のケースと考えられます。
では、いったいこのような子どもにはどのようなアプローチがいいでしょうか。この問題を解決するお話をする前に次のことをまずお伝えできればと思います。
好き嫌いで判断する「シングルタスク型」
筆者は30年間で3500人以上の子どもたちを直接指導してきた経験の中で、人にはざっくり大きく分けて2つのタイプがいると感じています。
過去記事でも取り上げたことがありますが、1つ目のタイプを「マルチタスク型」と言い、もう1つのタイプを「シングルタスク型」と言います。マルチタスク型は、企業内で言うジェネラリストで、シングルタスクはスペシャリストのようなイメージです。
マルチタスク型は、「比較的なんでもこなす、集中型というよりは分散型、無駄を嫌い秩序を好む」傾向にあります。そしてこのタイプの価値基準は「損得」です。損を嫌うために無駄を避け、得なことには飛びつく傾向を持っています。そのため、ノウハウ、仕組み、仕掛け、スケジュール管理については自分が得をすることなので、強い興味を示す傾向にあります。
一方のシングルタスク型は、「集中力は抜群で、好きなことと嫌いなことがはっきりしている」傾向にあります。このタイプの価値基準は「好き嫌い」です。ですから好きなことは積極的にやるが、嫌いなことはやらないか、後回しにすることが少なくありません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら