「計画性のない子」の成績を上げる1つの方法 時間にルーズで、提出物も最後までやれない

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それは「比較的やってもいい分野だけに絞る→準備などの計画を立てさせる」という形をつくるということです。

好きな分野が原動力となって、嫌いな計画はそのために必要な手段となることで、実行する可能性があります。

例えば、あるアイドルグループが好きな子どもがいたとしましょう。その子どもは、アイドルグループの地方コンサートに行くために、チケット、交通ルート、宿泊、グッズの準備など、万全にして行くことでしょう。普段の勉強ではまったく計画などしないにもかかわらず、です。ですから、本来その子どもはどうしても計画が立てられないのではなく、計画を立てる対象が嫌いだというだけのことなのです。

すべてを一度に計画させるのは無謀

森田さんのお子さんが、シングルタスク型で、かつ現状は勉強がさほど好きではないと思われる以上、勉強について計画うんぬんという話をしても、効果は薄いでしょう。シングルタスク型の場合のアプローチは「好きな分野」「やってもいい分野」から入って心を満たさなければ次のステップには進まない傾向があります。ですから、「すべての科目を一気に計画を立てて勉強をすることは取りやめて、科目を絞って実行する」という方法をとります。

通常の中間・期末テストでは、10科目近い科目についてテスト勉強をしますが、お子さんが「やってもいい」と思える好きな科目だけ、極端に言うと1科目に絞って計画を立ててやるのです。そして、ほかの科目はすべて今までどおり、そのままで済ませます。

この「1科目集中戦略」は、かなり勇気が必要でしょう。しかし、これまで計画を立てず成績もさほど芳しくないようですから、実態はたいして変わらないことと思います。もし、この1科目集中でやってみて成果が出るなら、次のステップに進むことができます。成功したらそれを横展開する、つまり徐々に計画的に取り組む科目の数を増やしていくのです。

以上をまとめますと次のようになります。

「比較的やってもいい(少ない)科目に絞り、それだけを試験勉強で集中してやってみる」

今の状態のままでいいのであれば何もしなくても問題ありませんが、改善したいということであれば、このような対応をしてみるのもいいかと思います。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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