ジョブズが部下を「クソ」と罵った深すぎるワケ 最強企業の秘密は「キツイ」マネジメント

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ジョブズ:本当に優秀で、本当に頼りになる相手のために自分ができるいちばん大切なことは、彼らがそうでないとき──彼らの仕事が期待以下だったときに、それを教えてあげることだと思う。

注目すべきは、「彼らが期待以下だったとき」とは言っていないことだ。「彼らの仕事が期待以下だったとき」と言っている。ジョブズが個人攻撃をしないよう気をつけていることがわかる。この区別は重要だ。

その人の行動の中にある欠陥を探すより、その人自身の性格のせいにするほうが簡単だ。「だらしない」と責めるほうが、「このところ夜も週末も働き詰めで疲れているから、論理の間違いに気づけなくなっているよ」と指摘するよりたやすい。だが、性格を責めても、その人の助けにはならない。

ジョブズ:はっきり伝えて、理由を説明し……そして本来の軌道に戻す。相手の能力を信じていることを伝えながら、解釈の余地を残さないよう指摘しないといけない……すごく難しいことだけど。

ののしったり怒鳴ったり失礼な態度を取ってもいい、と言いたいわけではない。それは勧めない。「お前の仕事はクソだ」と言われたら、大抵の人は自分の能力を疑われたと思うだろう。こんな言葉遣いを正当化するつもりはさらさらない。

けれど、この言葉が見かけほど悪くない場合もいくつか考えられる。例えば、すでに多くを達成している人に対してはとくに、何らかの極端な方法で気を引かなければ、批判的なメッセージが届かない。ジョブズは、批判が危険な綱渡りのようなものだと的確に表現していた。相手の能力を信じていることを確実に伝えつつ、同時にその人の仕事が期待以下であることをはっきりさせるのは、至難の業だ。

もちろんそのためには、前提として、基礎になる人間関係が重要だ。

なぜジョブズは「つねに正しいこと」をできるのか? 

わたしがグーグルを退社してアップルに入社すべきかを相談したときのことだ。インテルの伝説のCEO、アンディ・グローブはこう吠えた。

「スティーブのクソ野郎、あいつはいつも正しいことをやる」

冗談だと思って笑ってしまったが、アンディは思い切り頭を振ってみせた。「違う。わかってないな。ヤツは本当にいつも正解を出す。エンジニアみたいに正確なんだ。冗談でも誇張でもない」。

わたしが育ちざかりのグーグルからアップルに移りたくなった理由の1つは、強引な経営者のいる会社がどんなものか見てみたいと思ったからだ。社員への命令が効くのかを見てみたかった。それがアップル流のやり方だと思っていた。ビジョナリーのスティーブ・ジョブズが社員に命令する姿を思い浮かべていた。それでもまだ、アンディは大げさだと思った。いつも正しいってことはないでしょ?

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