家計調査「消費支出」が急増しているカラクリ

不正統計問題で問われる統計の精度

政府統計の点検は、まだ56の基幹統計について各省庁の自主点検が終わっただけである。春までに統計委員会による点検が行われるほか、233ある一般統計についても、各省庁による点検が実施される予定だ。

毎月勤労統計ほどの不正はないと信じたいが、基幹統計の約4割に問題があったことを踏まえると、多くの統計にミスがあるのではないかと思う。筆者は、日本銀行の支店が作成する統計の点検作業に携わった経験があり、統計作成と並行して点検作業をする職員の負担感には思うところがある。余裕を持った点検期間を設定しないと、直近公表値にまでミスが生じかねない。

職員の努力や献身では埋められない環境変化

「我が国の統計制度はこの20年間、数次の行政改革によって弱体化し、統計職員は減少し、活動は硬直化し、消極的になっていった」――。2006年に発行された島村史郎著『統計制度論』(財団法人統計協会)のはしがきに指摘された当時の状況よりも、現在はさらに厳しい。

統計メーカーや元関係者の言い分だけでは片手落ちなので、統計ユーザーであり統計調査に協力する企業側の問題意識を確認しておこう。経団連が2016年に公表した「公的統計の改善に向けた提言」では、統計調査をめぐる環境が厳しくなっていることを指摘。

その理由に、家計のプライバシー意識の高まりや単身世帯・共働き世帯の増加、企業の情報管理意識の高まりや企業形態の多様化、政府の厳しい財政状況の中、統計に関する予算・人員が減少していることを挙げている。企業の残業管理強化やコスト意識の高まりも影響しているだろう。

調査環境が厳しくなる一方で、経済成長率やインフレ率、賃金上昇率等が低位にあるため、わずかの誤差で公表数値の方向感が変わりかねず、これまで以上に統計精度の向上が求められている。現状の体制ではとても無理な要望であり、職員の努力や献身でどうにかなる問題ではない。予算・人員を増やし、統計制度を抜本的に改善しなければ、望めない話である。次回は統計制度の改革について論じたい。

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