「売りまくる営業」はプロセス重視という共通点 トップ営業マンは場当たり的にならない
トップ営業マンはどうでしょうか。長年の経験から、トップ営業マンには共通する特徴的な行為があることがわかりました。営業は、販売と違い、顧客がお店に来てくれることはありません。アポイントがあるなしにかかわらず、こちらから訪問するのが基本です。
そして初めて会う顧客(候補)に対面します。問題はこの瞬間です。社名が広く知られている大手企業ならいざ知らず、多くの営業マンは、名の通っていない中小企業に所属しています。
先方は、有益な出会いを求めている一方で、あまたの営業マンの攻勢に辟易しています。ですから、初対面の瞬間、ほんの3~5秒の間に最初の一言を聞くべきかどうかを決めます。そこで合格になった人の中から次の1~2分の間に、さらに真剣に話を聞くべき相手なのかを見極めていきます。
最初の3~5秒は直感的に判断する
最初の3~5秒で顧客(候補)側は、営業マンの目つき、話し方、身だしなみ、姿勢、声のトーンから、「こいつは信頼できるかどうか」を直感的に判断します。
そこでクリアした相手に対しては、次の1~2分の間に、その営業マンや所属する会社が自分にとっていいことを持たらすかどうか、ほかの営業マンに比べてさらに好意を持つべきなのかどうか、放たれる言葉をもとに判断するのです。この言葉に説得力や熱意があるかが、大きな分かれ目になります。
私が営業の第一線から退き、すばらしい実績を誇るトップ営業マンたちに話を聞き、その成功体験をひもといていくと、実によく似ているのです。最初の数分間にその営業行為のほとんどが凝縮している。つまりここで顧客の共感を得る行為が卓越している人たちがトップ営業マンになれるのだと気づかされました。
この最初の段階で、ほかの人を大きく引き離せば、受注獲得までの流れはスムーズになります。しかし、トップ営業マンがトップたるゆえんは、ここから成約までは決して気を抜かないところです。
このあと更なる動機づけ(顧客が決断する理由を作る)を試みます。さらに決裁ルートも確認しなくてはなりません。本当に決定権があるのは誰か、といったことも聞きだす必要があります。それによって提案する対象、順番が決まるからです。