食事制限すれば「簡単にやせる」と思う人の盲点 3カ月後の「停滞期」に焦ってはいけない
停滞期に入ると、食事量をさらに減らす人が多く見受けられます。これが引き金となってダイエットに失敗することは珍しくありません。
食べた物は、口、喉、食道、胃、小腸、大腸を通り、消化・吸収・排出されますが、これら消化器官は筋肉でできています。
筋肉と聞くと、筋トレなどで鍛える骨格筋をイメージするかもしれません。しかし消化器官も筋肉でできているからこそ、蠕動運動を行って食べ物をスムーズに通過させられます。要するにこの働きが衰えれば、エネルギー消費量まで低下するということです。
消化器官の神経は自律神経によってコントロールされており、骨格筋と違って、鍛えたくても力を入れたり緩めたりすることはできません。唯一のトレーニング法が「食べること」なのです。反対に、食事量を減らせば消化器官への刺激が減り、その力がどんどん衰えていきます。
よく「忙しくても簡単にとれるから」「飲み物は胃に負担がかからないから」と野菜ジュースやスムージーを朝食代わりにする方もいますが、これも同様の理由でおすすめしません。これらはいわゆる「流動食」。
流動食は本来、離乳食を食べる赤ちゃんや、そしゃくや消化が難しい方、そしゃく力・消化力が低下している高齢の方向けの食事です。消化しやすいというメリットはありますが、消化器官に問題のない方がむやみに摂取すると、本来の機能が甘やかされ、蠕動運動の力が弱まる可能性があります。
食べるだけで消費できるはずが
食事制限の恐ろしさはそれだけではありません。エネルギー摂取量が極端に減ると、体は「エネルギーが入ってこない、大変だ」と脳に指令を送り、基礎代謝量を低下させます。そして無意識のうちに歩く量や速度など、日常の活動量を低下させてエネルギー源となる脂肪を内臓などに蓄えるのです。
本来、毎日生きて食べるだけで、1日の総エネルギー消費量のうち70%近くが消費されています。内訳は、心臓や脳や筋肉などの生命維持に必要な機能を動かすための「基礎代謝」が60%、食べ物の消化・吸収・交感神経の活性化に使われる「食事誘発性熱産生(DIT)」が10%。残りの30%は「活動代謝」といい、運動や活動で消費されます。
食事制限によってこれらすべてのエネルギー消費量が少なくなるうえに、摂取エネルギーがため込まれるのですから、ダイエット失敗は逃れようがありません。
仮に食事量を減らし続けたとしましょう。その場合、体はさらなる危機を感じて基礎代謝量も活動代謝量もいっそう省エネモードにします。そのうえ食事量が少ないので、食事誘発性熱産生も低下。これでは頑張っても体重は減らなくなり、食事を減らすことと停滞期を永遠に繰り返す負のループにはまらざるをえません。
ダイエットに成功しやすい人は、今やっていることを継続できる人です。停滞期で焦って食事量を減らさずに、「体がダイエットモードに順応してきている時期」と捉えましょう。減量期と停滞期は同じくらいの期間続くと考えておけば気もラクになります。体が順応してくると体重はストンと落ち始めますから安心してください。
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