質問を読んでいくと、採用選考の基本を知らないシロウト面接官がかなり多いことにも気づく。2月28日掲載の記事「先輩就活生がウンザリした『印象の悪い面接』」でも書いたが、厚生労働省は就職差別を禁じ、具体的に14項目を明示している。ところが、守っていない企業がかなりある。具体的な質問を紹介してみよう。
「尊敬する人物は誰ですか」「座右の銘は?」「お父さんの勤務している会社名・職種は?」という質問を受けたというが、これはアウトだろう。「親の教育方針は?」も、面接では聞いてはいけないことの1つだ。面接官は、本人をよりよく理解するために育った環境を知りたいのだろうが、それはプライバシーに属する。
また、「彼氏いるの?」と無遠慮な質問をする面接官もいるが、時代錯誤も甚だしい。これも公になれば女性蔑視と指弾され、企業に悪い評判をもたらすだろうと思う。
「面接官にあだ名」が流行る?
最後にこれからの面接シーズンで使われそうな質問を紹介しておこう。
1つは、「面接官にあだ名を付けてください」というもの。先ほど挙げたNHKの番組の模擬面接で出た質問だ。3人の面接官の1人が、3人の就活生に出題した。3人ともよどみなく答えていたが、事後の感想では「焦った」と話していた。
面接官には初めて会うので、あだ名を事前に準備できない。また、学生の人間観察力と言語力、ウイットもわかるのでよい質問だと思う。
もう1つは、質問カードを選ばせるもの。「学生と企業のホントの本音」の前に放送された「全問リアル就活」の模擬面接で、3枚のカードを出して、学生役のタレントに引かせていた。
3枚のカードには「三度の飯より好きなことは?」「坊主頭にクシを売るにはどう売る?」「『内定です』と言われてまず何をする?」が記載されており、タレントは坊主頭のカードを引いて詰まりながら回答していた。
この形式には多元的な仕掛けがある。引いたカードの質問への対応だけでなく、引かなかったカードの質問への反応も見ることができる。今回の調査にも「ランダムにクジを引いて、その場で出されたお題に対してスピーチ」というものがあった。クジを引くという形式で学生の緊張はある程度ほぐれると思う。これもよい質問の出し方だと思う。
いずれにせよ、採用面接の現場では、いろいろな質問が出てくると思って臨むのがよいだろう。
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