デジタルジャーナリズム時代の、5つの教訓 今、アメリカのメディアで何が起きているのか
3. ネット広告を再定義する
ユーザーは、もはや自分の関心のない広告を見ようとはしない。ユーザーが記事の選択権を持つのと同様に、広告の選択権を持っていることを、メディア側は正しく認識するべきだ。もちろん、ジャーナリストとして真実を追究することをやめてはならないが、広告をコンテンツにしていくことも、選択肢のひとつとして考えるべきだ。
BuzzFeedは、ソーシャルに重点をおいたウェブメディアだが、最大の特徴はネット広告を再定義しようと試みていることだ。単なる広告ではなく、企業イメージを基にしたコンテンツを作っている。たとえば、キヤノンのページでは、カメラの画像ではなく、美しい写真を掲載している。ユーザーは、美しい風景を見ようとリンクをクリックするが、実際は、キヤノンのパワーショットの性能を目の当たりにしているのだ。
老舗メディアのForbesも、デジタル化の中で大きく変革したメディアだ。その大きな変化のひとつは、記事を届ける主体を、メディアではなく読者であると再定義した点にある。現在、Forbesのウェブページでは、1日に約450の記事が投稿され、ソーシャルメディア上で6万5000回もシェアされている。そして、最大の変化は収入源だ。今や収入源の2割は、スポンサーによるコンテンツとなっている。
4. キュレーションとアグリゲーションの価値が高まる
自らコンテンツを作らずとも、作られたコンテンツをキュレーション(収集)、アグリゲーション(集約)することで、新しい付加価値を生み出している。この傾向は確かに以前からあったが、デジタル化が進んだ今日では、何かひとつ独自の特徴を持ってキュレーション、アグリゲーションを行うことで、多くの人気を得ることができる。
Upworthyは、近年、最も急速に成長を続けるウェブキュレーションメディアだ。自分たちではコンテンツを作らず、既存のコンテンツに新しい見出しをつけパッケージ化する。フェイスブックのファン数は490万人を超え、月間8700万人のユニークビジターが訪れる。成長を支えるエンジンは、選別された見出しだ。つねにひとつのコンテンツに対し見出しを20以上作成し、その中から最も拡散力のある見出しをチームで選んでいる。メディアが乱立するウェブにおいて、キュレーションが重要な位置を占めていることを示す好例だ。