「ゲーム=悪」と全否定する親に伝えたい視点 中毒を防ぎつつ、多様な学びにつなげる

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石田 勝紀(いしだ かつのり)/一般社団法人教育デザインラボ代表理事、公立大学法人都留文科大学国際教育学科特任教授。1968年神奈川県横浜市生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。3500人以上の生徒を指導し、「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱にして学力を引き上げる。2003年、東京の中高一貫私立学校の常務理事として大規模な経営改革を実行。横浜市教育委員会高校改革委員、文部科学省高校生留学支援金制度の座長を務め、生徒、保護者、教員を対象とした講演会、企業での研修会も多数実施。2015年から連載している東洋経済オンラインの「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」は累計6500万アクセスを超える。2016年からはママさん対象の子育て・教育勉強会「カフェスタイル勉強会 Mama Cafe」を主宰し、講演会、研修会、ママカフェの活動回数は年間150回を超える。国際経営学修士(MBA)、教育学修士(東京大学)、東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍(撮影:尾形文繁)

石田:そうそう。いざとなったら、こういう約束をしたよね、と動画を見せて確認させるんですよ。そのとき、多くの家庭はペナルティを決めているんですが、これを実行しない家庭は失敗しています。なぜなら子どもは、約束は破ってもいいということを学習して、どんどん守らなくなっていくからです。

例えば制限時間を超えたら3日間はゲームやスマホ没収、2度目にルールを破ったら1週間没収、3度目は1カ月没収と決めたとします。決めたらなあなあにせず、すべて必ず実行して没収するくらいの覚悟が必要です。親が本気を見せて、決めたことは守り抜く姿勢を示し、しっかりとけじめをつけることが大事なのです。

ただ1つ注意してほしいのは、制限時間を短くしすぎると、不満だけがたまることです。ゲームにも区切りのいいところがあるはずで、1時間きっかりといったぴったりの時間でゲームをやめられるはずがありませんから。1日ではなく1週間で何時間までにするとか、平日は禁止だけど土日は4〜5時間やってもいいというふうに、初期設定に無理がないようにすることも大事です。

小宮山:学年や受験するかしないかの状況によってフェーズも変わっていくので、定期的に親子でルールを見直すことも大事ですよね。

――ゲームと学習が合体した「ゲーミフィケーション」について聞くことが年々増えてきました。ゲーム好きな子にお薦めのものはありますか?

小宮山:オンライン学習やタブレット学習では今、ゲーミフィケーションの機能は当たり前になっています。例えばリクルートが開発した動画授業見放題のオンライン学習サービス「スタディサプリ」は、学べば学ぶほどポイントがもらえて、それを使って自分が選んだ「サプモン」というモンスターに餌を与えて育てられるゲーム的要素を活用しています。子どもたちには人気ですね。

ほかのオンライン学習サービスでもゲーミフィケーションの要素を取り入れているものは多いですね。「子どもの意欲をいかに喚起し継続させるか」は、教育関係者の間では長らく課題となっており、今もまだ模索中です。そのような中で、ゲームが持つ要素というのは学びに応用できる可能性を大いに秘めています。

「学びとは楽しいもの」

――ジャストシステムの「スマイルゼミ」や進研ゼミの「チャレンジタッチ」など、工夫がこらされたゲーミフィケーションが広がっていますね。このように日本国内でも大分普及してきましたが、海外での状況はいかがでしょうか。

小宮山:フィンランドでは、国がゲームの教育利用を推進しています。「学びとは楽しいもの」という考え方がベースにあるので、ゲームは学びを楽しくする最強のツールだという認識なんですね。一昨年、フィンランドの教育大臣とお会いしてお話しする機会があったのですが、彼女の口から開口いちばんに出てきた言葉が「ゲームをどんどん学びの場で活用していく」だったので驚きました。

実際に、現地の小学校も訪問したのですが、プログラミングを学ぶ授業では、同じ教室の中でボードゲームで学んでいる子どももいれば、ハチの形をしたおもちゃで学んでいる子どももいました。ですから日本と正反対で、ゲームという言葉自体がとてもポジティブな意味で使われているんですね。また、北京大学では、ゲームについて学べる選択授業がスタートしました。それほどゲームというのは、これからの時代を生きる子どもたちとは切っても切り離せなくなっています。

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