「ゲーム=悪」と全否定する親に伝えたい視点 中毒を防ぎつつ、多様な学びにつなげる

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石田:ゲームそのものに学習効果が期待できるものもたくさんありますよね。

小宮山:私の息子も好きでやっている「マインクラフト」は、世界でシリーズ総販売数1億5000万本を突破した人気のゲームです。デバイスの画面上で、立方体のブロックを使って何でも自由に作れる、ものづくり系冒険ゲームですね。

石田:通称「マイクラ」ですよね。想像力も創造力も高まる良質なゲームとしてとても人気です。

小宮山:ゲームの可能性に驚いたのは、2018年4月に世界で発売された「ニンテンドーラボ」です。ピアノや乗り物など段ボール製のキットを組み立てて、ゲームと連動させて遊ぶ仕組みになっていて、小さな成功体験を積み重ねることもできる、とても教育効果の高いゲームですね。

――教育的要素を取り入れたゲームも、日々進化しているということですね。

石田:ゲームやユーチューブが、発達障害の子や不登校の子の集中力を引き出して、それが学ぶ意欲につながることがあります。例えば以前、発達障害と軽度知的障害がある小学2年生の息子さんが不登校になったというママさんから相談がきた際に、そのお子さんにゲームやユーチューブをやらせてみてください、とアドバイスしたことがありました。

ゲームや動画を通して、学びに触れる

私は、発達障害児や不登校の子が学んでいる広域通信制学校の理事長もしているのですが、そこで出会う子どもたちを見ていると、活字よりビジュアルのほうが理解しやすいケースが多いんですね。そこで、そのお子さんにも、タブレットで文字や数字の世界に触れさせてみてはどうかと思ったのです。

するとその後で、ゲームでキャラクターの名前を覚えたりユーチューブでコメントを書いたりして、ひらがなを覚えましたというお礼のメールをいただいたんですね。算数が苦手だったのに、ゲームの点数で数字の意味も理解しはじめましたと。そういう経験で自己肯定感も強くなったのだと思いますが、学校にも少しずつ通いはじめたということでした。

小宮山:確かに、以前、発達障害のある児童の授業を見学したことがありますが、「マインクラフト」に集中して取り組んでいた様子が印象的でした。

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石田:もちろん、ゲームやユーチューブをやらせるうえでルールを守らせることは不可欠です。ただ、今の教育環境は私たちの時代と違って大きく変化しているのは事実です。大人社会にテクノロジーがこれだけ浸透している今、それを子どもだけブロックするのはどう考えても非現実的ですよね。丁寧に付き合い方を考えていく必要があるのではないかと思います。

小宮山:テクノロジーによって新たな学びの機会が増えることは間違いないと思います。ゲームなのか、ゲーミフィケーションなのか、プログラミングなのか、場合によっては親の忍耐も必要になると思いますが、その子どもの適性に合ったツールを活用して見守る姿勢が、これからの子育てではますます重要になっていくと思います。

樺山 美夏 ライター・エディター

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かばやま みか / Mika Kabayama

リクルート入社後、『ダ・ヴィンチ』編集部を経てフリーランスのライター・エディターとして独立。主に、ライフスタイル、ビジネス、教育、カルチャーの分野でインタビュー記事や書籍のライティングを手がける。

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