花粉飛散量と症状の強さ、実は一致しない理由 花粉症と天気予報との深い関係
ダーラム法とは、野外にワセリンを薄く塗ったプレパラートを24時間置き、そこに付着した花粉を人が顕微鏡で数えるというもの。これは、病院や自治体などでは現在も行われている花粉の観測方法で、手間がかかることもあり、どんなに早く情報を更新しても1日1回が限度です。また、花粉の量が非常に多い場合は、数え間違えることもあるため、観測の精度もさほどよくはありません。
ウェザーニューズの「ポールンロボ」とは
一方で、環境省には、「はなこさん」という愛称の花粉観測システムがあります。こちらは、花粉飛散データを自動的に収集し、1時間ごとに更新して表示するというものです。花粉自動測定器は、約1m四方の底面積の大きさで、百葉箱内に設置されています。
測定器内に内蔵された吸引ポンプで大気を吸引し、レーザー光を照射することで大気中の花粉の粒子の大きさ(すなわち、花粉の種類)や数を計測する仕組みです。2007年にスギ花粉の少ない沖縄県を除く全国で花粉飛散状況が確認できる体制が確立し、現在では全国約130カ所の観測拠点があります。
ウェザーニューズでは、以前はダーラム法で花粉の飛散量を測定していました。しかし、2005年からは独自に開発した、「ポールンロボ」と呼ばれる自動計測機によって花粉の飛散量を測定し、データを収集しています。
観測方法は、環境省と同様に、大気を吸い込んでレーザーを照射するというもの。しかし、観測拠点は全国で約1000カ所もあります。なぜここまで多くの観測拠点があるのでしょうか。それは、ウェザーニューズが「ポールンロボ」を一般人に貸し出し、観測してもらうという手法をとっているからです。
ポールンロボは、初めて登場した2005年から試行錯誤を繰り返し、高精度かつ使いやすくなるように改良されてきました。各家庭に長期間置いてもらうものなので、愛着を持ってもらえるように、初代機から顔のような形をしているのが特徴です。
ポールンロボの大きさは直径約15cm程度で、「3歳児の頭の大きさ」を意識した形になっています。吸い込む大気の量も毎分60Lと、子どもの肺活量の平均値と同じ。口のように見える、下のほうの割れ目から大気を吸い込み、花粉の飛散量を測定します。
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