卒業間際で決まる「かけこみ内定」逆転シナリオ 応募からわずか1週間で内定を得た学生も

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ただ、就活をずっとやってきたがうまくいかなかったという人は注意が必要だそうだ。「企業や職種に対するこだわりが強かったり、理想が高すぎて、身の丈に合った企業や仕事が選べない人がいる。そういった学生は、何がうまくいかなかったのかを振り返るとともに、自分も選ばれる立場にあることを再認識し、視野を広げる努力をしてほしい」と語る。

また、「入社して、すぐにやりたい仕事に就けるわけではないことも理解すべきです。ゲームの開発をしたいと思っていても、その仕事ができないからといって諦めるのではなく、まずは他のIT系職種でスキルを磨き、ゆくゆくは自分の希望の仕事に就くというキャリアビジョンを持つといいのではないか」とアドバイスする。

いずれにせよ、この時期に内定を持たない学生にはさまざまなケースがある。就活がうまくいかなかったケース、これから就活をスタートするケースと、状況はさまざまだ。ただ、共通して言えるのは、そういった就活生には就活に関するノウハウや企業情報が圧倒的に不足していることだ。

1人で悩まずに大人を活用するべき

そして、なんとしてもかけこみ内定を獲得したいということであれば、ぜひ大人をうまく活用してほしい。これまでうまくいかなかったとしたら、それはなぜなのか? どこを改善すればうまくいくのか? 急いで進めるとしたら、自分に合う業界や企業、そして仕事はどんなものがあるのか? 自分1人で悩まずにどんどん大人を活用すべきだ。

大学のキャリアセンターの職員や、新卒紹介サービスのキャリアアドバイザーなど、就活に関するノウハウを豊富に持ち、企業の求人や人材ニーズをしっかり把握している言わば「就活のプロ」を頼ることで、最短距離で内定にたどり着ける可能性は広がってくる。

しかし、時間がないからと言って、不本意なまま就職先を決めてしまうのはおすすめしない。大切なのは、比較することだ。時間が許す限り複数の企業を見て、内容をしっかり比較して、自分に合った企業を見つけてほしい。

また、安易な気持ちで就職留年をするのも考えものだ。1年後に再び就活をする際には、「なぜ留年したのか?」と必ず確認される。その際に、単に「就職できなかったから」ということではなく、留年を決めた理由をきちんと説明できるようにすべきだろう。

今回はかけこみ内定を獲得するための注意点をまとめてみた。キャリアセンター職員の話では、この時期に就活を継続しているのは、内定を持たないケースばかりではなく、「会社から配属先の連絡があって、それが納得できないので、ほかにいい会社がないかと探しはじめたり、内定先を親から反対されて悩んでいたりするケースがある」とのことだ。

それに、4月から社会人になると考えると、漠然とした不安を感じ始める人もいるかもしれない。ぜひ、「自分の人生は自分で決める」という意志を持って自分の道を切り開き、社会人としての第一歩をスタートしてほしい。

吉本 隆男 キャリアライター&就活アドバイザー

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よしもと たかお / Takao Yoshimoto

元マイナビ編集長。1960年大阪生まれ。1990年毎日コミュニケーションズ(現:マイナビ)入社。各種採用広報ツールの制作を幅広く手がけ、その後、パソコン雑誌、転職情報誌の編集長を務める。2003年より就職情報サイト「マイナビ」の各種コンテンツ制作、プロモーション施策の立案・実施を担当。2015~2018年までマイナビ編集長を務める。2019年からは地域創生をテーマとした高校生向けキャリア教育プログラム&教材の開発に従事。2020年定年退職を機にキャリアライター&就活アドバイザーとして独立。日本キャリア開発協会会員(CDA)、国家資格キャリアコンサルタント。著書に『保護者に求められる就活支援』(2019年/マイナビ出版)

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