「ノート」に「セレナ」、雪上でみた日産車の実力 電動駆動車は雪道で性能をどう発揮するのか

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今回の試乗会では「GT-R プレミアムエディション」に乗る機会も(写真:日産自動車)

クローズドコースではGT-R Premium edition、フェアレディZ NISMOの内燃機関駆動車に加えて、ノート e-POWER 、リーフ、リーフ  NISMOの各車に試乗。ここでは日常領域から外れた車両の雪上における限界付近の走行性能を試すべく、アクセルペダルやブレーキペダルを積極的に踏み込む走行が行えた。

ダイナミックな走りが体感できたのは後輪駆動のフェアレディZ NISMOだ。カーブの手前でジンワリ減速してステアリングを切り込みながらアクセルペダルを同調させていくとご覧のようなドリフト走行を堪能できる。標準モデルからエンジンの高出力化(336PS→355PS)、ボディやサスペンションなどの強化によってクルマが手足の拡張パーツのように体の動きとピタリと一致するところも美点だ。もっとも雪道なので挙動も穏やかで速度も低いが、アクセル、ブレーキ、クラッチの3ペダルによる運転操作の楽しみと、そこから得られる醍醐味を存分に味わうことができた。

GT-Rでは4輪の駆動力制御によって滑らかに走らせることも、豪快に走らせることも容易に行えた。こうした走りを支える技術が「ALL MODE 4×4(トルクベクトル付き)」だ。走行状況に合わせて前輪と後輪の駆動力配分を連続的に変化させつつ、カーブを走る際には外側の後輪に多くの駆動力がかかるような制御が行われる。2車ではダイナミックな走行性能に加えて、ドライバーを高揚させる魅力的なエンジン音が車内外に響き渡ることも内燃機関駆動車ならではの特権であると再確認できた。

電動駆動車のメリットを体感

リーフでは標準車とNISMOの2台を乗り比べたが、共通して言えることはノート e-POWERで記した電動駆動車のメリットが体感できること。雪道に不慣れなドライバーにはワンペダルドライブのe-Pedalがありがたい存在になるはず。さらにNISMOではボディとの一体感がさらに強調されることから、路面の状況がステアリングやシートを通じてより一層明確になるため、安全な運転操作にも一定の効果があることがわかった。

日産自動車の今回の雪上試乗会では、電動駆動車の雪道性能を十分に体感できた(写真:日産自動車)

「電動駆動車」の雪上性能と、「電動駆動/内燃機関駆動、駆動方式の違い」をそれぞれ体感するという今回の雪上試乗会の目的は、コース状況にも恵まれたことでしっかりと果たせたように思う。

一方で、どこまで電子制御技術が進もうとも、路面との摩擦係数が低くなるこうした滑りやすい路面ではドライバーの技術に対する過信が最大の敵であることも理解できた。発進加速がスムーズに行えたとしても、凍結路面であれば停止距離は格段に伸びてしまうことには変わりはない。技術を過信することなく、路面状況に応じた走行を心がけることが何よりも大切。雪上試乗会を通じてさらに理解を深めることができた。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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