「搭乗しなかった」客を航空会社が訴えた事情

ルフトハンザドイツが客に損害賠償を請求

昨今は、スルーチェックインで最終目的地まで搭乗券が発券されることが多いが、チェックイン時に経由地までの搭乗券を発券してもらうことも原則として可能だ。もし最終目的地まで搭乗券が発券されてしまう場合、「飛び降り」をする人は、荷物を機内へ持ち込みすることになる。

また、事前の連絡なしに空港に現れない行為(ノーショー)に対しては、復路放棄とは別に違約金を課すことを定めている航空会社が多い。

あらかじめ搭乗しないことがわかっているのであれば、リスクを軽減する意味でも、また、倫理的な観点からいっても航空会社に連絡するなど、事前に伝えておいたほうがよいだろう。放棄した区間の飛行機がもし満席だった場合、早めに告知しておけばそれだけその空席が有効活用される可能性が高くなるからだ。

航空会社がペナルティを科す背景

 それにしても、なぜ航空会社はペナルティを科そうとするのだろうか。「航空券を購入したのは本人なんだから乗るか乗らないかは本人の自由だろう」と感じる人は少なくないはずだ。

これは、航空会社が区間ごとに利潤の最大化を図ることによるものといえる。今回のケースでいえば、ドイツからシアトルに行くよりもオスロからシアトルに行くほうが一般的に安い。北欧は物価が高いイメージがあるが、航空券についてはヨーロッパ内では安いのだ。

また、ルフトハンザ ドイツ航空を利用する場合は、行き帰りともにドイツでの乗り継ぎを余儀なくされるために条件が不利だという点もある。そこで同航空会社では、北欧発の価格をドイツ発よりも安く設定して、北欧市場での競争力を高めようとしている。

しかし、より高い価格設定をしているドイツ在住の人が安い北欧発を買ってしまえば、ルフトハンザ ドイツ航空の収益は落ちてしまう。航空会社として当然それは阻止したいわけだ(実際に北欧まで行って航空券を購入する人の数はそれほど多くないと推察されるが)。

航空券の基本的なルールとして、第一区間から順番に利用しなければならない。そのため、今回訴えられた人もわざわざ出発地のオスロに行ったことになる。かつてソウル発の航空券が安かったころ、日本在住者がわざわざソウルまで行き、そこから航空券を使い始めるケースがあったがそれに似ている。

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