日本で金融の新サービスが生まれにくい事情 フィンテックははたして今後どうなるのか

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北澤:拙著『誰がFinTechを制するのか』でも触れましたが、QRコードは、20年ほど前にデンソーの技術者によって開発されました。当時はソフトウェアではなくハードウェアを売っていくビジネスモデルで、それなりに国内に普及しましたが、現在そのQRコードを使って最先端のUXを享受しているのは、支付宝(アリペイ)や微信支付(ウィーチャットペイ)を持つ中国の方々なわけです。

以前の中国では、タクシーを乗る時は助手席に乗るのが常識だったそうです。偽札を掴まされないようにドライバーを見張るためです。あと、ガラケーも普及していなかったので、いきなりスマートフォンが普及しました。

イノベーションが起こりづらい理由

新興国が、先進国がたどってきたステップを経ずに、いきなり最先端の技術に到達してしまうことを「リープフロッグ現象」といいますが、金融においても、それまでは「外側」にいた人たちが先端のサービスを享受している一方で、日本はインフラが整っているがゆえに、「そのインフラの不便さを疑わない→イノベーションが起こりづらい→最新のサービスがなかなか普及しない」という状況に陥っていると言えます。

最近になってようやく、送金も24時間可能になりつつありますが、つい最近まで「15時以降に送金すると翌日扱いになる」ことを誰もが受け入れ、すごいがんばって15時までに送金していたわけですよね。

僕たちの前の世代やその前の世代が一生懸命つくったインフラを「所与のもの」として無意識に扱い、その先ってあんまりないんじゃないかと思っている時点で、成長やイノベーションは止まってしまいます。ただ、少しKYな人が「あれ、なんでこうなんだっけ?」とツッコむことでイノベーションが起きるケースがあって、金融も、まさにそういう人たちによって徐々に風向きが変わりつつあるのが現在だと思います。

金融の場合、特有の知識が必要だったり、ライセンスを取得する必要があったりと、参入障壁が高いことは事実なのですが、それでも「Think outside the box」といいますか、従来の発想に囚われない考え方であったり、文字通り金融の外側にいたプレイヤーたちによる、「よくわからないけど、それってなんででしたっけ?」「なんでそれってダメなんですか?」といった発想が、今後はより一層必要になってくると思います。

今後の主導権は、ユーザーが握っている!?

北澤:フィンテック企業というのは、総じて「誰かのなにかの悩みを解決したい」とか「こういった新しい世界を作りたいといった」ミッション・バリューを掲げているはずで、それが言い訳にならず、常に自分たちの行動規範としている会社が、これからどんどん出てくると思います。

そして、技術によってもっともっと業界の透明性が浮き彫りになってくると、ユーザーも使い勝手がいい、自分が好きなサービスをユーザーが選ぶようになってくるはずです。つまり、主導権がどんどんユーザーに移っていくという状況が起きるわけです。

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