日本で金融の新サービスが生まれにくい事情 フィンテックははたして今後どうなるのか

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そうした非対称性や閉鎖性をテクノロジーによって覆し、金融を民主化しようというのが、フィンテックと呼ばれる分野のひとつの価値ではないだろうか……。そう考えているのが、北澤直氏(Coinbase Head of Japan)だ。昨年末に『誰がFinTechを制するのか』を上梓した北澤氏に、日本におけるフィンテックの見通しについて訊いた。

日本人のお金に対する意識

北澤直氏(以下、北澤):日本はすごくおもしろい国で、お金に対する向き合い方が二極化しているんです。まず、1800兆円ある個人の金融資産のうち、半分以上が預貯金だといわれます。彼らはみな、リスクを取りたがらないわけです。

かつてこの国にも、高い成長率を誇った時代がありました。みんなで豊かになり、みんなで成長することができ、預金さえすればお金が増えたのです。その頃に芽生えた「とりあえず預金」という常識に、まだ囚われているのかもしれません。

その一方で、ギャンブルといっても過言ではないレバレッジをかけたFXの取引が非常に盛んです。実際、世界一の取引高をあげているのは日本の会社だったりします。あと、昨今のクリプトアセット(暗号資産≒仮想通貨)のブームも、「億り人」という言葉に代表されるように、投機的な側面もありました。

そこからは、「どうせリスクを取るのだから儲からなきゃダメでしょ」という一攫千金的な思考が読み取れます。その意味でいうと、日本人は、リスクに関する考え方がゼロサム的なのかもしれません。

その点、例えばアメリカの場合は、1960年代には早くも401kといわれる確定拠出年金が出てきたりして、自分の資産をリスクに晒しながら少しずつ資産を増やしていくという成功体験を、多くの人が味わいました。

「よくよく考えると、世界経済って基本は成長しているので、大暴落は何度かあるけれど、10〜20年置いておけば複利も考えるとそれなりに増えるよね……」ということで、預金口座に置いておくのは意味がないという発想が浸透していったのだと思います。

インフラが整っているからこその落とし穴

北澤:もうひとつ、日本の特徴を表す言葉として「金融包摂(Financial Inclusion)」が挙げられます。

世界には金融から外れてしまっている人たち、例えば銀行口座を持っていない方々、あるいは金融インフラがちゃんとしていない国に住んでいる方々がまだ大勢いるわけですが、日本というのは、そうした金融インフラがとてもキチンとしている国なんです。

そうしたインフラを作った先人たちの努力は想像を絶するもので、だからこそ僕らはいま、お金を送る時に「届かない」なんて心配をすることはありませんし、「偽札を掴まされるなんてありえない」というレベルで暮らしているわけですが、これって実はすごいことなんです。

逆に言うと、キチンとしているインフラを壊して、新しいものを始めましょうということには、なかなかならないわけです。

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