Jリーグ最年少社長が立ち向かうJ3、新たな挑戦 働きながらプレーするJリーガーも数多い
同じJリーグといっても、J1やJ2と比べ3部相当のJ3は多くの課題がある。
「J3で満足度が低いのが、例えば”おもてなし”。『駐車場が足りない』『グラウンドが遠い』ことよりも、スタジアムに到着してチケットを切る所や駐車場の案内などの『ホスピタリティ』がまだまだです。
試合を見に行った瞬間、『来なきゃよかった』と思われていたら切ないですよね。残念ながらそういうデータがJ1からJ2、J3と落ちていくとはっきり見えてきます。
クラブが意識ひとつ変えれば改善できる話なので、スタッフに共有して1つずつ改善していきたいです。まずはマイナスをゼロにすることを意識しないといけません」
運営資金についても、市民クラブ(親企業がいないクラブ)としての課題がある。J1やJ2に比べてもJ3は市民クラブの比率が高く、地方に本拠地を置くクラブが多い。必然的に県内の経済規模も小さい。そこで興行としてのJリーグらしさを考えると投資が必要になってくる。
「チーム数が年々増えているので、年間予算が4億~5億円ないと、J3でもいっぱしのクラブになれない状態」(宮野社長)だという。グルージャのような年間予算が3億円前後のクラブは踏ん張りどころだ。
Jリーガーの引退後をパソナも支援
さらなる課題が、選手の給与待遇や引退後の支援だ。J1などと比べJ3には無給の選手もいる。昨年までは所属選手のうち約8割の選手が働いており、スポンサー企業などに働き口を見つけていた。
「Jリーガーの平均引退年齢は25~26歳。みんな漠然とした不安を持っています。
引退した後にうまく就職できなかったり、途方に暮れる選手は多い。
グルージャは選手が働くという環境しか用意できていないので、むしろセカンドキャリアも考えつつ『グルージャに来てよかった』と選手に思ってもらえるようにしたいという想いがあり、整備することにしました」
そうした背景もあり、人材サービス業のパソナとパートナーシップを締結した。練習後に働ける職場の選択肢を増やすことや、セカンドキャリアに活かせるスキルを身につける仕事を提供することなどが狙いだ。
「こういった取り組みは今までJリーグではなかったと思いますし、民間の企業の方々にサポートしてもらうのは新しい取り組みになると思います。
『Jリーガーを目指してみようかな』という学生に将来の不安などがなく、大きな夢を持って飛び込んでもらえる環境を作る必要があります。グルージャは、まだまだ下のクラブですが、この環境作りはカテゴリーを問わず大事です」と宮野社長は力を込める。
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