レクサス、「月19万円で借り放題」はお得なのか 国内メーカー初の定額利用サービスを開始

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縮小

レクサスブランドは好調だったが、トヨタの2018年の国内販売台数は156万4000台と前年比4.2%減少した。2019年は横ばいを見込むが、中長期的には人口減少の影響を受けることは避けられない。国内の新車販売台数は1990年の777万台をピークに縮小が続き、2018年の販売台数は527万台と3分の2まで縮小した。トヨタの国内販売も1990年の250万台と比べ、4割近く減っている。

国内市場が縮小し、約5000店あるトヨタの販売店網を維持できるかわからない。新車市場の縮小に追い打ちをかけるように、消費者の意識も保有からシェアリングへ移りつつある。国内のカーシェアリングサービスの会員数は2018年に132万人を超え、この5年間で100万人以上増えた。国内の登録車では5割弱という高いシェアを誇るトヨタにとっても、自動車を作って販売する、既存のビジネスモデルが揺らぎかねないとの強烈な危機感がある。

「TOYOTA SHARE」の運用を始めた東京都内のトヨタの販売店には1店舗当たり1~2台のカーシェア用車両が配備されている。利用者はスマートフォンのアプリで鍵の開閉ができる(写真:トヨタ東京販売ホールディングス)

そうした危機感を背景に、国内販売体制の大改革にも着手。シェアリングサービスも立ち上げた。昨年12月から東京都中野区で「TOYOTA SHARE(トヨタシェア)」の試験運用を開始し、今年2月から都内全域に拡大した。現時点ではトヨタ直系の販売店など17拠点に30台を備える。コンパクト車の「ヴィッツ」は15分200円から借りることができる。「お試しで使いたいという人の会員登録が増えている」(トヨタ東京販売ホールディングス広報)。

「中古車版キント」も視野に

ライバルのホンダは2017年11月から、日産自動車は2018年1月からカーシェア事業を展開している。カーシェアは成長著しい分野だが、「タイムズカープラス」を展開するパーク24を筆頭にプレイヤー間の競争は激しく、後発組が食い込むのは容易ではない。利用料金や使い勝手、借りられる車種数などでどこまで魅力を出していけるかが課題だ。

カーシェアにせよ、サブスクリプションにせよ、車が使われれば、整備需要が継続的に発生する。実はこれが重要な点だ。一般に整備の収益性は高く、カーシェアやサブスリプションが普及すると、販売店に新たな収益源が生まれる。トヨタのサブスクリプションは当面は新車が対象となるが、利用の終わった車両を使って「中古車版キント」を展開することも視野に入れる。

トヨタの友山茂樹副社長は「モビリティサービスでは、どれだけコストパフォーマンスの高いリースやメンテナンスができるかが競争力の原点となる」と話す。つまり、整備による収益を販売店が取り込むためにも、整備士の生産性を今まで以上に上げていく必要がある。

トヨタは現在、「カローラ」や「ネッツ」などトヨタブランドの国内販売チャネル(系列)を4つ持つが、2020年代前半から2025年にかけて実質的に一本化する。国内向け車種も現在の約60車種から半分の30車種に絞り込む。どの販売店ででもすべてのトヨタ車を買えることになれば、販売店同士の競争が激しくなるのは必至。整備やシェアリングで収益を多角化するのはもちろんのこと、効率性が販売店生き残りのカギを握る。車のサブスクプションが日本で普及するかどうかは未知数だが、販売店の意識改革を促すことができれば、トヨタにとっては先陣を切った意味がありそうだ。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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