メールの内容は、こうだった。
「僕は、相手とけんかをするのが嫌いです。洋子さんはいつも、『私と結婚する気持ちはあるの?』とけんかをふっかけてきます。『外に食事に行くのは好きじゃない』と言っている僕に、『記念日だから』と外食を強要します。こうしたけんかがなくなり、その平和な状態が1年くらい続かないと、僕は結婚を考えられません」
結婚できるかどうか聞くこと。外に食事に連れ出すこと。それらがすべて“けんかをふっかけられた”ことになっている。よって、それがなくならないと結婚ができないという。
40歳を過ぎた男が結婚できない理由として掲げるには、あまりにも幼稚すぎる理論だった。
「メールを見て、“私、こんな男性と1年半も付き合っていたんだ”と思った瞬間に、何の未練もなくなりました。“もう別れよう”と。 “結婚をしたい”という気持ちが先走って、“この人の要求さえのんでいれば、結婚できる”“この人が望む女になれば、結婚できる”と、しがみついていました。人として尊敬できる部分があったからお付き合いしていたのは確かですが、目が曇っていて、彼の本質を見抜くことができませんでした」
結婚は“決断”である
「私の1年半、何だったんでしょうか」と言う洋子に私は言った。
「付き合っている相手に “結婚”という言葉を出したときに先延ばしにされたら、その人との結婚はないものと考えたほうがいいんですよ。なぜなら結婚は、決断だからです。今決断できない人は、1年後も2年後も決断できないんですよ」
結婚すると、それまでの生活とは環境がガラリと変わる。人間は、生活環境が変わるとなると、ワクワク感とともに不安を覚える。結婚できない人というのは、新しい環境に飛び込むときに、ワクワク感よりも不安感が何倍も大きく膨らんでしまう人だ。
また歳を重ねるごとに自分のライフスタイルが出来上がっていって、そこにはマイルールができている。そのルールで生活することが心地よいので、結婚で共同生活者を得たときに、そのルールを侵略されることを考えると、相手がだんだん疎ましくなってくる。そういうタイプは、結婚を決断しない。
私は、洋子に言った。
「これからお見合いをして出会ったお相手の相談は、何でもしてくださいね。一緒にお相手を見ていきましょう。そして、結婚が決断できるお相手を一緒に探していきましょうね」
重ねて言う。結婚は”決断”である。
もう何年も付き合っているのに、結婚を言い出さない。何年も同棲をしているのに、入籍しようとしない。
そうした恋人が、本当に生涯の伴侶になりえるのか。そうした恋人と付き合っている人たちは、今ここで考えてみるといい。
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