村上ファンドはなぜ「廣済堂」に目をつけたのか

葬祭子会社「東京博善」の知られざる企業価値

廣済堂の子会社である東京博善の運営する四ツ木斎場。120億円を投じてリニューアルした(記者撮影)

アメリカ系のプライベートエクイティファンド・ベインキャピタルが、1月18日に廣済堂のTOB(株式公開買い付け)を開始してから間もなく1カ月が経とうとしている。

TOB開始前に400円前後で推移していた株価は、2営業日後の1月22日にはTOB価格の610円に到達。1月29日にはさらなる上昇に転じ、2月4日の終値は700円を超え、2月6日には848円の高値をつけた。

同日夕刻、その原因が判明する。村上世彰氏が率いるレノが大量保有報告書を提出し、廣済堂株の5.83%を取得していることを公表。レノは2月5日と8日にも変更報告書を提出し、1月30日時点で共同保有分も含めて保有割合が9.55%になっていることを明らかにした。

収益は子会社・東京博善に依存

多少落ち着いたとはいえ、18日現在の株価は700円を超えており、TOB価格である610円との乖離は大きい。村上氏が廣済堂に目をつけたのも、廣済堂にとって虎の子である連結子会社・東京博善の価値が過小評価されている可能性があり、今後TOB価格の引き上げもあり得ると踏んだからだろう。

東京博善は都内6カ所で火葬場を営んでいる。廣済堂の有価証券報告書によると、2018年3月期の売上高は約86億円(葬祭セグメントの数値)。廣済堂の連結売上高全体の2割強でしかないが、営業利益は25億円と、廣済堂の連結営業利益のほとんどを占める。廣済堂の祖業である印刷や出版、人材事業などが稼ぎ出している営業利益はわずか1億円強にすぎない。

この関係は今に始まったことではなく、廣済堂本体の利益の大半を東京博善が稼ぎ出す構図は、かれこれ10年以上も続いている。

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