JR東海とJR北海道を分析する 鉄道会社のトラブルは、厳しい経営環境が原因?

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DeNAやヤフーなどのIT企業は例外ですが、一般的には、これほどの売上高営業利益率を出すということはまずありえません。これは、鉄道業は設備投資の減価償却など固定費は比較的高いですが、変動費はそれほどなく、JR東海の場合には損益分岐点を大きく超えているからです。まさに、一般企業からみても、他の鉄道会社からみても、夢のまた夢の話です。JR東海は超高収益企業なのです。

次に、貸借対照表(同7~8ページ参照)から、会社の安全性を示す「自己資本比率(純資産÷資産)」を計算してみますと、29.8%と高い水準です。つまりJR東海は、現状、安全性が非常に高いうえに、収益基盤もすごくしっかりしている「超」のつくほどの優良企業だと言えますね。同社は東海道新幹線という稼ぎ頭がありますから、収益力があるのです。

そのうえ、今は景気回復という追い風が吹いています。私は1年で100回以上、新幹線を利用しています。少しぜいたくですが、いつもグリーン車を利用します。その際、「グリーン車の隣の席が埋まるかどうか」という定点観測をしています。企業は景気の状況によって、「経費の3K」と呼ばれる「交通費」「広告費」「交際費」をすぐに削減したり増やしたりします。つまり景気が悪くなってきますと、企業は交通費を削りますから、グリーン車の隣の席は空席が多くなりますし、景気が回復してきますと隣の席が埋まるようになるのです。

私の感覚では、今年に入ってからは、隣の席が埋まる回数が増えたと感じます。企業が出張を増やしてきていることもありますが、団塊世代の人たちが引退し始めたことで、「夫婦で健康なうちに旅行をしよう」という人たちが増えてきている、という面もあるのでしょう。そういう点では、JR東海は今年度も好業績となる可能性が高いと考えられます。

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