JR東海とJR北海道を分析する

鉄道会社のトラブルは、厳しい経営環境が原因?

まず、損益計算書(決算公告の当該ページ参照)から見ていきましょう。JR北海道は上場していないので、上場企業の開示内容と違うこともあります。

まず、鉄道事業による「営業損失」が335億円計上されています。関連事業の「営業利益」は26億円出ていますが、「全事業営業損失」は309億円となっていますね。営業利益段階ではトータルでは赤字ということです。

ところが、「経常利益」は9億8600万円出ています。本業で大幅な営業赤字を計上しているのに、なぜ経常黒字になっているのでしょうか。

答えは、「一般営業外収益」にある「経営安定基金運用収入」が270億円出ていることです。「経営安定基金運用収入」とは何でしょうか。

貸借対照表(同広告の当該ページ参照の「純資産の部」にある「株主資本」の中に「経営安定基金」という項目があります。6822億円と膨大な金額です。一方、利益の蓄積である「利益剰余金」は△8億円と、マイナスになっています。JR北海道が苦しい経営を続けている様子がうかがえます。

1987年に日本国有鉄道(国鉄)が分割民営化を行った際、「JR三島会社」と呼ばれるJR北海道、四国、九州は鉄道事業では経営が成り立たないだろうと言われていました。しかし、鉄道がなくなってしまうと、その地域に住む人たちが困りますから、潰すわけにはいきません。そこで赤字を補填するために生まれたのが、「経営安定基金」です。この基金を運用し、その収入によって赤字を埋めてください、というわけです。

もう一度、JR北海道の貸借対照表に戻りましょう。「経営安定基金」は6822億円。そして「経営安定基金運用収入」が270億円ですから、その運用利回りは約4%になります。

ただ、よく考えますと、今のような低金利時代に4%で安定して運用することなどありえないと思いませんか? 実は、これには巧妙なカラクリがあるのです。

経営安定基金の主な運用先は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構への高金利による貸し付けと決まっています。つまり、実質的には鉄道での営業損失を補填するための補助金だということです。これが運用収益という形で、JR北海道、四国、九州の鉄道事業を補完しているのです。

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