スタンフォードの憂鬱…? 大学教員の30代 雇用と業績が双子の不安、踏ん張りどきの過ごし方

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テニュアは得たけれど…? その後も消えない焦り

さて、僕の場合は去年めでたくテニュアをもらうことができたのだが、意外なことにプレッシャーはむしろ前より強くなった。

なんというか、以前は外から「無理やりにでも仕事しろ!」というプレッシャーをかけられ続けていたので、特に意識しなくても論文を書こうという気持ちになりやすかった。でも今や、そうはいかない。「外からのプレッシャーが弱い分、自分でモチベーションを保たなければいけない」ということが、プレッシャーになるのだ。

著者撮影:キャンパスは晴れわたっていても、その影で研究者が必死に仕事をしていたりする

あとは年齢が上がってきたこともやはり関係あるような気がする。学者稼業を始めて(学生の期間も含めると)10年ちょっと。

なんだかんだで研究のコツみたいなものも、ある程度蓄積してきたから、まぁこのままでもそれなりの研究成果を出し続けることはできるだろうと思う。

……というのがとても怖いのだ。言い換えると、10年も同じようなことをしてきているからには、残りのキャリアを惰性で行ってしまうのは簡単な気がするのだ。

前に書いたガロワの話じゃないけれど、もっとこう、論文にしてもダラダラしょーもないことを書き散らかすんじゃなくて(いや、本人としては結構楽しい研究をしていると思ってはいますが)、本質的に新しいことを何かドカンとやってみなければ……!

実際、学者の世界に目を向けると、有名な研究者には、若い頃に革命的な研究をした人が多い。さすがにガロワのように20歳で革命的な理論を! とは、そう簡単にいかないが。

しかし経済学の場合は、たとえば数学が「超若い人がやる分野」と言われるのに比べれば、「蓄積が大事な分野」ではあるようなので、そこまで焦る必要はないのかもしれない。

大学院で僕のアドバイザー(指導教官)だったロス教授は「研究生活はマラソンみたいなものだよ」と言っていた。じっくり、みっちり時間をかけてちゃんと研究すること。それから、研究がすぐには花開かなくても腐らないで、自分が大事だと思う分野を育てていくこと、と。

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