──メディアの責任は大きい?
大きいね。エビデンスの有無さえ明らかにしてくれれば、何を言ってもいいんです。「説得力は乏しいけど、いいと思ってやっている人が多い」とかね。有酸素運動をしろとか、体を冷やすなとか、安くて副作用がない健康法なら、お金が絡まないのでエビデンスは不要です。逆に、高くて危険な治療はエビデンスが必要。そこがごっちゃになって流通している。
──例えば、不眠自体は問題がないのに、誤った情報で患者が生まれている?
一部は正しい。不眠で病気になる人はほんの少しですがいますから。悲しいかな、われわれの資本主義社会は、具合の悪い人が1人いればその裾野を広げることで儲けられる。患者には、眠れないと死ぬって思って薬を飲んでいるならやめろと言っていますが、ほとんどの医者は製薬会社の言うことをそのまま受け入れていて、そこにお金が動いているという認識もないと思う。
自分が楽しいことをするのが心の健康に
──健康情報を取捨選択しない側にも問題はありますね。
外来で診てると、死んでもいいから健康でいたいって感じの人はいます(笑)。リスク評価をしていないんです。交通事故で年に約3500人が死んでいて、そのリスクを引き受けて外出している反面、これは体に悪い、あれも体に悪いなんてやっているのは変だな。
──アンチテーゼが、「どうせ死ぬんだから、それまで楽しく」。
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