トランプ大統領が実はピンチになっている理由 なぜ日本のマスコミは重要な点を見ないのか

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トランプ氏、連邦政府の一時再開を受け入れ 2月15日まで(1月26日付BBC)

要するに、あれだけ、3か月でも半年でも続ける・・・と言っていた割にはあっさりと引き下がってしまった。物事、あとから振り返るとあれが分水嶺だった、ということがよくありますが、これも後生その1つに語られるかもしれません。

事実上、今回はトランプ大統領の「惨敗」

1つ明確なことは、今回はトランプ大統領の「惨敗」だった、という点です。まず、政府閉鎖をしてから、各種支持率がぐんぐん下がり、AP,CBSは30%台に。まあ、トランプ大統領に言わせると「フェイクニュース」の類、ということになるでしょうが、いつも支持率が高めに出て来るので、事あるごとに彼が引用しているラスムッセンですら44%と、就任以来ほぼ史上の最低ですから笑えません。

また、今回成立したつなぎ予算の内容は、昨年12月の政府閉鎖の直前に上院が可決したつなぎ予算案と内容が全く変わりません。そもそも「この案に署名しない」とトランプ大統領が突然言い出して、政府閉鎖が始まったわけで、結局35日間もだだをこね、突っ張った挙句、元の案を承諾してしまったわけですからこの政府閉鎖の35日間とは一体何だったんでしょうか。結局、受け入れざるを得なかったのは世論の圧力があった、ということで、トランプ大統領もそれとは無縁でいられない、ということですね(むしろ逆にかなり敏感なのかもしれない)。

これまでの政府閉鎖を見ていくと、大体議会が悪者にされて来たわけですが、今回は民主党の一致団結と逆に共和党の足並みの乱れが目立つことになり、議会に対する批判はほとんど聞かれません。まず、民主党の団結をもたらしたのはなんといってもナンシー・ペロシ下院議長の手腕です。

今回ペロシ下院議長は、中間選挙を経て新たに加わった多様な民主党議員を制御し、弾劾をちらつかせて圧力をかけるとか、トランプのような激しいレトリックで挑発するといった軽率な動きを封じ込め、自らの冷静な行動でトランプ大統領を追い詰めました。一般教書演説を延期させたのは、まさにペロシ下院議長の「妙手」ですし、一方トランプ大統領が仕返し、と称し、民主党代表団のアフガン訪問等を妨害しましたが、結果的に「あいつはガキか?」と非難囂々となったのです。

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