トランプ大統領が実はピンチになっている理由 なぜ日本のマスコミは重要な点を見ないのか

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このあたりのペロシ下院議長(当時は下院の院内総務)の冷静かつ老獪な手腕を垣間見ることができるのが、こちらです。

■ President Trump Threatens Shutdown In Meeting With Pelosi, Schumer | Andrea Mitchell | MSNBC
この番組では大統領、副大統領、民主党の上下両院の院内総務(ペロシとシューマー)という大物4人が、これだけ長い時間メディアの前でノーガードの打ち合い。そしてマイク・ペンス副大統領だけが一言もしゃべっていない、という超笑える事態を見ることができます。

トランプ大統領はどうやらこのナンシー・ペロシという人が苦手のようです。彼は「ナンシー」、「チャック」と2人のファーストネームで呼びかけるのですが、2人とも「ミスター・プレジデント」と冷静さを演出し、結局トランプ大統領の理不尽さを際立たせる作戦に成功していますね。

共和党の足並みの乱れが見えた

一方、共和党の足並みの乱れが見えてしまったのは今回のつなぎ予算の前日に行われた上院での歳出法案の採決でした。ここでは壁の建設費を盛り込まない民主党案が賛成52!!反対44。一方、共和党案は賛成50、反対47。必要数の60に足りないので両方とも否決されましたが、共和党が多数を占める上院で、民主党案の方が多くの支持を集めるということ自体、衝撃的な事態だと申し上げておきます(メディアにとってはとってもビッグニュースのはずなんですが・・・笑)。

ワタクシと一緒に仕事をしている専門家のJDによれば、造反したのは6人の共和党議員で、ラマー・アレキサンダー(テネシー)、スーザン・コリンズ(メイン)、コーリー・ガードナー(コロラド)、ジョニー・アイザクソン(ジョージア)、リサ・マコウスキー(アラスカ)、ミット・ロムニー(ユタ)だそうです。これだけの議員に離れられては、共和党はどうにもなりませんね。

おかげでトランプ大統領はメディアから「史上最も弱虫な大統領」と呼ばれる羽目になり、つなぎ予算が切れる2月15日には相応の報復を準備するものと思われますが、これだけ世論の反発を受けてしまったので、やるとすると国家非常事態宣言くらいしか方法はなさそうです。ただし、これは法的根拠に乏しいもので、仮に出しても裁判所から差し止めされるのはほぼ確実で、そうなるとまたペロシ議長の思うツボに嵌る可能性もあるでしょう。いずれにせよ、今回の事態はかなりの大ニュース、なんです。

なお、これらの記事は先ほどのグッチーポストで連載をしてくれているJDとの情報交換をもとにしています。彼はこれだけの内容を書けるわけですから、有料の価値は十分あります。アメリカの政治状況に興味のある方には積極的にお勧めしたい、と思います。(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

次ページここからは競馬コーナー。週末のきさらぎ賞の勝ち馬は?
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