結論から先に書こう。金融商品を買う場合「年間の総支払い手数料が0.5%を超えるものを決して買わない」と心に決めておくことを強くお勧めする。「年率0.5%までが、運用サービスに支払っていい適正価格の上限なのだ」という「価格感覚」を持つといい。
運用商品に「足切りフィルター」を設定する理由とは?
つまり、「100万円を1年運用するのに5000円以上払うのは高すぎる」「1000万円の運用なら年間払っていいのはどんなに高くても5万円までだ」と感じるようになるといい、ということだ。この感覚が、あなたのお金を、ダメな運用商品・サービスから守ることになる。
手数料は、購入・売却時に支払う手数料と運用管理に対して支払う手数料の合計で考える。例えば、ネット証券でETF(上場型投資信託)を100万円買って500円の手数料を払い、2年後に売却し、この際にまた500円の手数料がかかったとする。このETFの運用管理費用(信託報酬)が年率0.25%だったとしよう。1年当たりに払っている売買手数料は年率0.05%で、運用管理費用が0.25%なので、合計は0.3%だ。この選択肢は検討に値する。
「1%以内ではダメなのか?」「0.6%ならどうなのか?」、逆方向から考えて「『同カテゴリーで手数料最安以外はすべてダメ』と、どうして決めないのか?」といった疑問が当然ありうる。
「年率0.5%」は確かに妥協の産物であり、ベストの状態を保証する基準ではない。しかし、例えば、1%を許すと不利であると同時に意味のない運用サービス(例えばロボアドバイザーは無意味だ)や、判断が困難な運用商品(アクティブ運用を行う投資信託で相対的に優れた商品を探すのは難しい)が混ざってくる。
運用利回りにとって0.5%と1%の比較は「大差」であることとともに、一般個人が運用商品選択に余計な手間をかけずに済ませるためのわかりやすい基準としてこのレベルに決めた。
なお、貯蓄性の生命保険(外貨建ての終身保険など)のように実質的な手数料が明示されていないものや、あなたが調べなければわからないものに関しては、「すべて」ダメだと考えていい。
近年よく売られている外貨建ての生命保険などはすべて検討に値しない商品だと考えていいので、惜しいことは何もない。手数料を知らずに商品を買うのは、控除率を知らずに馬券を買うくらい愚かなことであり、理性のある人間がすることではない。
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