2月11日、ドナルド・トランプ大統領が右手の親指をグッと突き上げた写真をツイートした 。「トランプ支持52%の高さでワシントン震撼」(Trump 52% Approval Jolts Washington. Best in Years)。
保守系サイト「ドラッジレポート」 のヘッドラインをコピペしたものなので、割り引いて受け止めるべきなのだろうが、2月5日の一般教書演説が好評だったようだ。いつも低めに出るギャラップ調査でも、トランプ支持は44%まで上昇している。1カ月以上も続いた政府閉鎖により、いい加減、愛想を尽かし始めていた支持者が戻ってきているのだ。
トランプ大統領の反撃で債務上限問題が心配に
いまや反撃のときぞ来たれり。年初からナンシー・ペロシ下院議長にやられっぱなしだったトランプ大統領が、逆襲モードに入りつつある。ネタはもちろん「壁」の建設だ。2月15日に「つなぎ予算」が切れる直前、大統領は新しい歳出法案にサインすることを明らかにした。多くの人々が「よかった、これで再度の政府閉鎖は避けられる」、とホッとした瞬間、今度は国家非常事態を宣言して、メキシコ国境の壁の建設費を捻出すると言い出した。
建設費用として、トランプ氏が求めていたのは57億ドル。与野党が合意した歳出法案が認めているのは14億ドル。しかも「壁」ではなく、「フェンス」という呼び方をしている。「ちくしょう、足元を見て値切りやがって。その差額は大統領令により、議会承認抜きで他の財源から転用してやるぜ」。
民主党は、「大統領権限の乱用だ」と反発している。非常事態宣言とは本来、ハリケーン襲来のときなどに使うべきものだ。ペロシ氏は「国境に非常事態は存在しない」と批判している。おそらく宣言の無効を求めて、法廷闘争に持ち込むのではないだろうか。
こんな風に与野党対立が先鋭化すると、3月に訪れる債務上限問題が心配になってくる。米国債の発行上限を上げなければならないが、そのためには与野党の合意が必要不可欠である。それが遅れると、最悪、米国債のデフォルトが視界に入ってくる。
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