アメリカに渡ったゴルフ少女が選ぶ英才教育 18歳の小野里リアさん、「夢」のある挑戦

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高校3年生までに英語力をつければ「アメリカ留学」という道が開けるかもしれない。ただ、自分のプレーを大学のスカウトに見てもらわなければ話はこないので、そうした機会を作るためにも世界ジュニアゴルフのような、トップレベルの大会で自分のプレーをアピールする必要がある。

2018年PGM世界ジュニア日本打表選抜大会の西日本決勝で優勝した小野里リア選手(写真:国際ジュニアゴルフ育成協会提供)

1985年に全米女子アマチュア選手権を制して、複数の大学のスカウトを受け、テキサス大学オースチン校に進んだ服部道子が大先輩にいる。

当時、入学直前に現地で語学学校に通っている服部を訪ねたことがあるが、一生懸命英語を学んでいた。学業の成績が悪いとチームのメンバーから落とされるという厳しい中で4年間、NCAAのタイトルを10個も取っている。

小野里さんもこうした厳しい環境で戦うことになる。

出発前、小野里さんは「母の国でゴルフができるのが楽しみです。ゴルフで名前を売りたい。全米女子アマや全米女子オープンに4年間で1回は出場したい。そしてプロになる準備をしたい」と話していた。

高校生のジュニアゴルファーの進路にはさまざまある。プロを目指す場合、高校を卒業して、プロテストまたはツアー出場資格を得るためのQT(Qualifying Tournament:ツアーに出るための予選会)を受け、日本のツアーに挑戦していく道。高校を卒業後、日本の大学に進学して腕を磨いた上で同じように日本ツアーに挑戦していく道。大きくはこの2つの進路が想定される。ただ、プロテストやQTも1回でクリアできればいいが、何度も、何年もかかることは珍しくはない。

アメリカへの留学により選択肢が増える

ここに「アメリカ留学」が選択肢に入れば、道は増える。米ツアーのプロになるという選択肢も出てくる。たくさんの経験もできる。

2011年から日本全国で予選を行って世界ジュニアゴルフに日本代表団を結成して送り込んでいる。プロゴルファーでは、国際ジュニアゴルフ育成協会(IJGA)同協会の井上透代表理事は「今回の留学が実現したのはうれしいことです。日本での予選大会を作ったのも、ジュニアの育成と強化の中で、プロになるためだけではなく、年齢の早い段階で世界を見て経験することが大事と考えたからです。小野里さんは英語ができたということはありますが、こうして“アメリカ留学”ができることを知って、英語を勉強して行きたいという子どもたちが増えてくれば、意義のあることだと思います」と話している。

子どもたちにはたくさんの可能性がある。小野里さんは、日本で小学生からゴルフを始めて、そうした道を開けることを示してくれた。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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