巨大物流センターと立ち上がる「斜めの壁」

穴守稲荷駅の羽田クロノゲートへ行ってみた

不思議な形の「スカイプラザビル」

 

決意を新たに顔を上げると、環8をはさんで向こうには、これまでに見たことのない形をした建物があった。ヤマトの敷地の外であるが、当然、視察へ向かう。壁に「HTS」とある。Hで始まるということは、羽田ナントカ、という会社のビルに違いない。

このビルのみ見た目はかなり衝撃的だ。8階建てに見えるマンションが3棟、コの字型に建っていて、その3棟にフタをするように、4階建てに見える建物が乗っかっている。HTSはHaneda Turtle Serviceの略らしい。タートルって、亀だよなあ。スカイプラザビルという名前のビルだ。

「成毛さん! 中庭にフライトシュミレーターがありますよ!」と編集者が叫ぶ。コの字の真ん中に、それが鎮座していた。747シュミレータ機。イギリスのレディフォン社製で、JALは1980年から2006年までの間、これを使っていたという。その間、2000人以上のパイロットやフライトエンジニアが、訓練に使用した。と説明書きが添えられている。

宅急便はアップルと同い年

これで26年間で2000人が、か。感慨にふける。宅急便が生まれたのは1976年。2014年で38歳だからアップルコンピュータと同い年だ。誕生から今日まで、いったいいくつの宅急便を扱ったのか。年間で15億だから、数百億といったところか。

フライトシミュレーターが展示されていた。その向こう側に見えているのがクロノゲートだ

羽田は物と人のジャンクションだ。それだけでなく、時空の軸も交差しているのではないか。

そして再び思うのは、先ほど見学した羽田クロノゲートのこと。本格稼働が始まれば、確かにここが巨大な物流の中心地になる。動く荷物を赤血球に例えれば、羽田クロノゲートは心臓になるわけだ。すると大事なのは、建物のサイズよりもむしろ、その心拍のリズムや送り出す血流量であり、大きさを語るなら、建物の規模だけでなく、その先に張り巡らされている血管の太さや長さ、そこまで確実に届けられる酸素の量や質など、容易には俯瞰できない規模のシステム全体を語るべきなのかもしれない。

羽田クロノゲートという名は、ギリシャ時代の時間の神であるところのクロノスと、国内とアジアのゲートウェイとなるべく、そこにゲートという言葉を組み合わせたという。おそらく、クロネコのクロも含まれている。またまたパンフレットから借りると〈『新しい時間と空間を提供する物流の「玄関」であるとともに、物流の新時代の幕開け』を表現しています〉という。

物と時間の交わる、この土地にふさわしい名前と言えよう。2014年1月には羽田クロノゲート施設内に見学コースがオープン予定。お運びの際には、周辺もぜひお楽しみいただきたい。

(構成:片瀬京子、撮影:尾形文繁)

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